異世界RPG~攻略本で魔王も楽々討伐!?~

卯月 為夜

プロローグ

「バハムートも倒せたし、そろそろ飯にするか。」

俺は世間から言わせるとニートだ。

でも俺はプロゲーマーとして生きるための

特訓をしている。そのおかげで今は

このゲームでは負け無しの

”鬼神のアオトさん”と呼ばれている。

ただ、俺は抜けているとよく言われる。

「はぁ…そろそろこのゲームも引退するか。」

そんなことをブツブツ言いながら部屋を出て、キッチンに向かうため階段を降りる。

その時…

ツルッ!

「え?うわぁぁぁぁ!!」

階段で滑って転げ落ちた。

やっぱり俺は抜けているようだ。

階段で滑って死ぬなんて…

やっぱり抜けてるな。


グキッ!


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「…ん?イタタ…首が痛いな…」目が覚めると、俺は椅子に座っていた。

「どこだここ…」俺が周りを見渡すと、

何も無い空間が広がっている。

すると突然…

「浅田蒼斗さん。貴方は亡くなりました。」

そう言ってきたのは、羽衣を着た女の人だった。

「あの…あなた誰ですか?」

俺がそう聞くと、「私は慈愛の女神、メグト。あなたを導く者です。」

そう答えた。女神と言うだけあって、

神々しいオーラのようなものを感じる。

「メグト…さん?」

「はい、メグトです。」

そう言うと女神はニッコリと笑った。

「突然ですが、貴方は異世界に行く気はありますか?」

「異世界…ですか?」

「はい、異世界です。異世界バルツを救って頂きたいのです。」

「つまり、勇者として転移するという事ですか?」

「はい。日本での記憶もそのままで、

向こうの世界に行ってもらいたいのです。」

俺が勇者か…でも体力も無いしな…

「あのー俺、体力も筋力もないただのもやしですよ。」

「大丈夫ですよ。だってとりあえず送るだけで私のランキングがあがるんですもの。」

「は?今なんと?」

「いや、何も言ってないですよゲフンゲフン」

何か聞こえたが…気にしないでおこう。

「ところで、向こうで死んだらどうなるんですか?」

「ああ〜!大丈夫よ〜!向こうで死ぬだけだから!」

ん?口調が…気のせいか。

どうやら日本に戻るだけらしい。

でもなんか信用ならない!!

「コホン!とりあえず、生身だけだと

あれだから、じゃじゃーん!異世界丸ごと攻略book!」

異世界丸ごと攻略book…!?

やっぱ信用ならない!!

「あの〜。どうも信用出来ないんですけど…」

俺がそう聞くと、女神は

「大丈夫よ〜!だってクエストから魔王の倒し方までぜーんぶ書いてあるんだから!!」

と言う。でもやっぱこんなゲームみたいなの

信用出来ない!

「じゃあちょっと見せてもらっていいですか?」そう聞くと、はい!と言って

手渡してきた。

俺がペラペラとめくると、確かに色々書いてある。

「すごい…進め方が全部乗ってる…!

これだったら俺でも行ける!」

「決まった?どう?行く気になったかしら?」

女神がそう聞いてきたので、俺は二つ返事で

「ああ、行く!行くに決まってる!」

そう言った。すると、

「じゃあ魔法陣張るから、目閉じてて。」

そう言われたので、俺は本を持ちながら目を閉じた。

「慈愛の女神メグトが命ずる。

この者、蒼斗を異世界バルツに転移させよ。この者がその世界を救うだろう。

さあ!今異界の門を開きたまえ!」

女神がそう言うと、俺の周りを青い光が

覆っていく。次の瞬間、俺は上にある門に吸い込まれていった。

「さあ!世界を救うのです!

そして私のランキングをあげるのよ!

やったね私!これで上級女神になれる!」

はあ!?こいつ…!俺を出汁に使いやがったのか!やってしまった…!

「詐欺だぁーーーーー!!!!!」

そう叫びながら俺は転移された。

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