第11話 「眠る」

わたしは環る 

わたしのもとへ

だれも知らない海の底 

静かに揺らめく砂の導き


ベールをおろすように

まぶたを閉じる


たくさんの出来事は 

ぐるぐるとからだをめぐり

ひとつひとつが 

泡となって消えていく


ときめいたあの人も

かなわなかった心も


音もたてずに消えていく

でこぼこの肉体さえも

やがて残らず消えていく


哀しみの中でもなく 

喜びの中でもなく


なんにも知らない

わたしになりたい


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