【詩 Drop】言葉のドロップたち

小箱エイト

第1話 「信号待ちの、小さな安堵。」

あなたのお母さまは、

青い、かつてあなたが乗っていた自転車のカゴに、

膨らんだ買い物袋を乗せまして、家の前で止まったのです。


健やかそうで、静かに、おそらくいつもと同じ感覚で、

車庫のシャッターを開けて、自転車をいれるのでした。


あなたの車は留守です。

お母さまが家に入ります。


陽が、あなたの帰る場所を照らしています。

あなたのリズムも整っているのでしょう。

これからもきっと、そうしてそうして、いくのでしょう。


信号が変わります。

わたしはしばらく直進をし、次なる交差点で右にウインカーを出します。

そうしてそうして。

わたしたちは道をいくのでしょう。

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