第22話 何か撥ねた
僕の専門学校時代の先生から聞いた話である。
ある日の夜、地方で仕事があり、終わった後車を走らせていた。山間に面した暗い田舎道を一人で行く。夜の田舎道は街灯が少なく闇が深い。狐や狸でも出そうだなと先生は思った。
その時、ふと何かが飛び出してきた。慌てて急ブレーキを踏むしかし、ドカッ! と何かを撥ねてしまった。撥ねられたそれはボンネットを転がりフロントガラスにぶつかり、車の左側へ落ちたという。見た感じでは人の様だったと先生は思ったそうだ。
急いで車を降り辺りを調べる……。だが、何も無いのである、前方から車の下、後方を数十メートルに渡って調べたが何も見つからない。車にも何かに衝突した痕跡はない。
一応警察に連絡してみる。緊急性があるのかよくわからなかったので110番ではなく地元の警察署の電話をネットで調べてかけた。
警察官に場所はどこですかと聞かれたとき、辺りを見回してみてそこが墓地のすぐ隣だと気が付いた。
「○○の道を○○方面へ向かった墓地のある通りです」と言うと警察官は「また出たか」と一言呟いたそうです。
一応警察官を送り辺りを調べてみます。何かあったらお知らせしますよ。と言われたので、その日はそのまま帰ったそうである。結局連絡は来たが事故が起こった様子はないと言われた。
ふとボンネットを見ると手形が一つ着いていた。塗料の様でもなく何かの体液の様なものが着いた手形だったそうだ。
洗ってみたらすぐに落ちたのだが、落とすとき線香の匂いがしたと言う。
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