私的四字熟語読解

いとう縁凛

　学校までの通学路。先輩と会ったことがある場所は三か所。

　最寄りの駅、歩道橋、校門前。待ち伏せするほど勇気はないし、『偶然』出会える方が運命を感じる。

（……今日は、会えなかったな）

　姿を見かけないから、偶然目が合うこともない。

　もしかしたら、先輩は今日、休みだったのかもしれない。

　肩を落として下校していると、どこからか猫の鳴き声がした。何気なく視線を向けると、その先に……

（ぎゃっ！！　かわ……かわいい！！）

　恋する乙女らしからぬ悲鳴が漏れないように口をふさいだ。

　笑顔全開、おもちゃまで持参して子猫と全力でじゃれ合っている先輩を発見した。

（こ、これはチャンスかも？　犬派だけど、そんなの関係なし！！）

『一意専心（いちいせんしん）：一つのことにひたすら心を集中すること』

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