幼なじみの彼は

ねるこ

ある日

夕暮れの教室、隅に一人、少女はうずくまっていた。


「どうした」

少年の声はやけに教室に響く。


「ちょっと、休憩していただけだよ」

少女は顔を上げ、力なく笑った。


「あいつらなら、もう帰ったぞ」

少年は、太陽の落ちかけた校庭に目をやる。


少女は、少年の視線をおい、正門をくぐる複数の生徒の影を見つけた。


「もうしばらくかかりそうだから、先に帰ってていいよ」

ゆっくりと広い室内に視線を戻し、少女はため息をつく。


「じゃあ、早く帰ろっか」

少年は箒と塵取りを手に、にやぁっと笑った。

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幼なじみの彼は ねるこ @mirainomilk

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