寿司丸鉄ちゃん!
ラッキーストライク
第1話「鉄男」
「やってられるかバカヤロー!」
創業68年を迎える寿司屋「寿司丸」の店内に罵声が響いた。店内に客は少ないが、その代わりにテレビのカメラやスタッフたちが右往左往している。
カメラは鉄男の投げた下駄を追い哲夫の師匠である千葉氏に激突する。
「ぐばぁ!」
仰向けで倒れ店内が少し揺れる。千葉氏は今年60歳になる老人だがまだまだ現役と言った感じで心身ともに健康だが、さすがに心配になる。
「大丈夫ですか!?」
私や周りのスタッフは千葉氏に駆け込む。
泡を吹き鼻血を出している千葉氏に生気はない。
「こんな仕事辞めてやらぁ!」
鉄男はその足で店から出てしまう。
「カメラ!哲夫を追え!」
「でも、千葉さんが!」
「なんとかなる!まだ、死んでねぇ!」
実際、死んでるのかと思った。だって息してないんだもん。
コンプライアンスとか責任とかこの時俺の頭には無かった。
いや、考えられなかっただろう。だってドキメンタリー撮るだけでオッサン一人気絶するとは思わないだろう?
テレビマンとして俺は今年20年のアニバーサリーだ。今回の仕事は寿司屋の密着。楽な仕事だ。なのに、なんでこうなったんだ...
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