記憶力と従順の


ゲームを始めようとした奏だったが、空から送られてきたメッセージには、「ゲームできるようになった」と書いてあった。空のPNはソラナだそうだ。安直すぎでしょと笑っているが、本人は名前そのものである。

そして次に送られてきたメッセージには、

「15分後に街の噴水前で」どうやら待ち合わせをするようだ。

そのメッセージに奏は

「了解です( ̄^ ̄)ゞ」と送りゲームの世界に入った。


カナデがログインすると、周りのプレイヤーたちがざわつき始める。

「おい、あの子って1位になった子じゃないか?」

「本当だ…まさか会うことができるとは…」

「確かになんか強そうだな…」

「うん…俺関わりたくないわ。強そうだし。」

そんな事を言われているとは知らず、カナデは(私、何か見られてる!?やだ…もしかして、1位になっちゃったのがだめだったかな!?)と、ネガティブなことを考えていた。

だがこのゲームの民度はそこまで低くない。

逆にノリがいい人が多い。


15分が経ち、ソラナがやってきた。

「やっほーお待たせ!カナデ!」

そう言ってきたソラナは、どうやら鉤爪使いにしたらしい。

「ううん!待ってないよ。それより…職業は何にしたの?」

「えっとねー、ハンター!」

「へぇーハンターにしたんだ。確かに鉤爪はハンターがいいって書いてあったもんね。」



職業をハンターにすると、適正職業となり、鉤爪のみが使える特殊スキルが解放されるらしい。更に、ハンターはAGIとAVDを無条件で常に上昇にするので、鉤爪使いとしては動きが機敏になるのでとても有難い職業らしい。


「うん!ところでさ、フレンド登録しない?」

「ふれんどとうろく?」

「うん、登録すればメッセージも送れたり、フレンドのところにワープしたりもできるらしいよ。」

「へー凄いんだね!じゃあ早速…」

こうして2人はフレンドとなった。

「よし!おっけー!じゃあ早速レベリングしてくるね!」そう言うと、ソラナはしびれ沼に向かったらしい。


「うーん…私はどうしよっかな〜。あ!そういえば道具屋さんにアイテム預けたままだった!取りに行かないと!」

そう言って道具屋に向かったのだった。


「はい、これが不眠のブレスレットだ」

「わぁー!ありがとうございます!」

「おう!今後ともご贔屓に!」

その言葉にカナデは頭をペコッと下げると道具屋を後にした。


「それじゃ。楽園の森に行きますか!」

そう言って楽園の森に向かった。


「うわぁー凄い綺麗!」

楽園の森に着いたカナデは、周りを見回すときらびやかな花や、キラキラと流れ落ちる滝が目に飛び込んでくる。


「あ!このモンスター可愛い!仲間に出来ないのかな?」

光り輝く犬のようなモンスターだが、仲間に出来ないようだ。

「うーんこの子はダメか…じゃあ、遠慮なくやらせてもらうよ!」

そう言うと無慈悲にもモンスターを切り刻んだ。


そこで新たなスキルを手に入れた。

【従順の色香】


どうやら先程のモンスターはレアモンスターだったらしく、悪食の腕輪をつけているカナデにレアスキルがドロップした。

【従順の色香】:使用するとあらゆるモンスターがテイム可能になる。


「うわぁ、すごいやこのスキル!じゃあ試しに…

従順の色香!」そう言うとカナデの周りに花のパーティクルが出現した。

「うわぁー!綺麗!よし!じゃあ進もう!」

しばらく進んでいくと、ボスモンスターらしき敵がいた。

「おっ!ボスだ!じゃあついでに倒しますか!」

『カーディナルフェアリー』

このボスは眠り効果の攻撃を得意とする妖精型のモンスターだ。

だが、不眠の腕輪を使用したカナデには効き目がなく、難なく倒すことが出来た。

「ふーっ。不眠の腕輪って凄いなぁ!全く効かなかったもん!」

しかし、カーディナルフェアリーが消える様子がない。

「んー?なんで消滅してないんだろう?」

カナデが近くに行くと、いきなり光を発し出した。

「うわっ!眩しっ!」

少しすると、光が収まった。

「ふーっ、何だったんだろう…今の。」


「ミュ〜!」


「ん?」カナデが不思議に思い下を見ると…

カーディナルフェアリーがテイムモンスターになっていた!

「えぇーっ!?なんでボスがテイムされてるの!?」

少し思案を巡らせるとある事にたどり着く。

「あ、私そういえば従順の色香試しに使ったんだった…」

そう。従順の色香は効果時間に制限がなく、1度使用すると次に倒したモンスターが必ずテイムモンスターになってしまうのだ!例えボスモンスターだろうが関係なく。

「まあ、でも案外可愛い!」

「ミュゥ!」

「うーん名前はどうしようか…そうだ!君の名前はオットーだよ!」

こうしてカナデはテイムモンスター、オットーを仲間にしたのだった。

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