記憶力とVSクレフ
「えっ…消えた?」
否、クレフは消えた訳では無い。とんでもない速度で走り回っているだけだ。
「これが見切れるかァ?」クレフはそう言うと、
「流々白刃・青龍!」何やら奥義らしき技を発動した。
「なんなのこれ!?行けるかわかんないけど…
アサシン・フィールド!」
流々白刃・青龍は、今までこれを受けて立っていた者はいないという最終奥義である。その内容は、超速で尋常ではない攻撃数を誇り、敵を木っ端微塵にするというなんとも凶悪なスキルだ。
しかし、攻撃方法は1パターンなので、カナデはアサシン・フィールドで見切るつもりなのだ。
「うそ…このスキルAGIを極限まで落とすんだよ…?それでこの速さなの!?」
「はっ!どうしたどうした!?そんなもんかァ?」
一応避けることは出来ているのだが、いつ当たるかは分からない。
その上、2人ともあと一撃入れば倒れてしまう極限の状態のバトルということで、緊張が走る。
一方その頃、観戦者たちは…
「何だよあの戦い…目で追えねぇ!」
「ほんと、あれでもアサシン・フィールド発動中らしいよ。」
「えっ…まじで!?やっぱクレフさんは強ぇな」
「それ。でもあの子も凄いわね…あれを避けるなんて」
「まさに異次元の戦いってかぁ…」
カナデ達の戦いを見て観戦者たちが無言になってしまうという事態が発生した。
そんな中、カナデは技を見切り始めていた。
「おっ、見切り始めたか。やっぱりやるなぁ。」
「…(右、左、斜め下、左、上、下、斜め右下…)」
「おいおい…まじかよ完全に見切るたァやるなぁ。なら、これでどうだ!」
なんと、また速度が上がり、さらに剣の動きが変則的になった。それにカナデは、「うそ…また速度が上がった!?(あれ…でも何か双剣乱舞に似ているような…なら!)」
「おらおらどうしたどうした!?」
カナデが反応できていないと思ったのか勢いづいたクレフだったが、
「…双剣乱舞!!」
「カンッ」
「…!!(こいつ…!俺の剣を全て止めているだと…?)」
「あなたの技…見切りました!」そう言ったカナデは、隙を付いてクレフに一撃を入れる。
その瞬間を、観戦しているプレイヤー達が静かに見ていた。
「やるなぁ…嬢ちゃん…いや…カナデ。あんたの勝ちだ。」
そう言うと、クレフは光に変わった。
何故カナデがクレフを倒せたかそれは、
彼女のスキルの双剣乱舞と完璧に同じ動きだったのだ。その為、双剣乱舞を普段と逆に変えると全て止めることができる。
クレフが光に変わった瞬間、「そこまで〜!」
というドラりんの声が聞こえてきた。
「それでは、結果発表でーす!」
「三位は…ベルネさん!おめでとう!」
「二位は…ヴァルクさん!おめでとう!」
「そして栄えある一位は…カナデさん!おめでとう!」
「え?私…一位!?しかも二位と約500ポイント差って…もしかしてさっきのクレフさんが1位だったの!?」
カナデは喜ぶことも無く、困惑している。
なぜなら様子見のつもりだったイベントで、王者になってしまったからである。
「上位3名には、3つのスキルの書の中から選んだものをあげちゃうよ!まず、一位のカナデさんから!」
そう言われると、カナデは目の前に現れた3つのうちの真ん中のものをとった。
「では!ついでにインタビューを!」
そう言われると、カナデの前にマイクが現れた。
「あ、あのー僭越ながら優勝させていただいたカナデと申します。
今回は本当にありがとうございまひゅっ!!」
最後は見事に噛んでしまったカナデだが、インパクトを残せたらしく、一躍有名人となった。
「なんかあの子。めちゃくちゃ丁寧じゃなかった?」
「確かに。しかも最後噛んでたもんね〜。」
「でも悪い子じゃ無さそうだな。」
「しかも可愛い…」
「確かにめちゃ可愛い…」
「その上強い…これは良いですなぁ…」
ほか二名は強いことは周知の事実だったので、皆驚きはしなかった。
こうして、カナデを変えたイベントは幕を閉じた。
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