16:ぼくの彼女を傷つけたくない
【第128回 二代目フリーワンライ企画】本日のお題
使用お題:接触不良
#深夜の真剣文字書き60分一本勝負
※今回すごく短くて話が進んでないです申し訳ない
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セックスは、最初こそ嫌いではなかった。
好きな人とあたたかな肌を合わせられる安心感、互いだけに見せられる表情、声、快感。自分が求められて、受け入れられることが本当に嬉しくて、彼女が喜ぶならとなんでも試したし、知りもした。
女性の体の仕組みに、避妊のこと。そして、男の体のことも。
「静くんも、もっと気持ちよくなってよ。男の人も、挿れられれば気持ちいいんだって」
最初は彼女も、互いに快楽を求めるために勧めたことだったと思う。道具を揃え、身支度を覚え、試した行為は予想以上に気持ちよくて、あられもない姿を彼女に晒した。
体を痙攣させ、快楽のままに声を漏らし、本来ならば排泄器官である穴への刺激をもっとくれと彼女にねだった。彼女はそんな僕の「おねだり」にとても嬉しそうに応えてくれた。
たぶん、それからだったのだと思う。
彼女「が」僕を抱くようになり、彼女の欲望を暴力と共に受け止めるようになったのは。
彼女は仕事で輝くために、抑えつけていたストレスを僕にぶつけていた。支配できるひとがほしかったのだ。彼女が受けたような理不尽をぶつける相手が。だんだんと、接触不良の機械のような関係になっていくことも見ないふりをして。
彼女は僕を利用していたのだ。この世界で生きるために。
今の僕も、生きるためにあのひとを利用している。他人からの理不尽から逃れるために、自分の心を守るために、強くて優しいあのひとを利用していたのだ。
初めて顔を合わせたときも。
僕のことをたくさん知ってくれたときも。
そして、さっきも。
いつだって僕のために心を砕いてくれることが、嬉しくて、だから応えたいと思った矢先だった。
今のままでは、あなたと肌を合わせた瞬間に、何をするかわからない。貴方が優しいからを免罪符にして、今まで僕がため込んでいた欲望が全て良くない方向で向かったとしたら?
自分の思い通りになる存在を手に入れた瞬間の人間は、とっても脆くて、とっても非道いんです。
僕は、元カノみたいな非道い人間になりたくなかったのに。
自分の中にも、元カノがいるって分かったら、貴方に触れない。
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