安い政権が崩れるのは早かったよ、の件。
前任の、独裁者・長期政権が崩れるのは早かった。全ては従わないと不利になるがための“忖度”で持ってきた政権である。そもそも、凡庸以下の知性と能力しか無い、安っぽい政権だった。それだけならまだしも、無駄に野心だけは高かった。たがために非常事態が起こり、一度、上手の手から水が漏れだすと、あとは一気にドバドバっと瓦解していく。
「マスクを全国国民に配ります」と、その安っぽい首相は言った。“いや、そこじゃないだろ!”と、国民全員がツッコんだ事柄だが、政権内には批判は無く、多額の税金を投入して、マスクが配布されることとなった。休業要請で多数の会社が疲弊し、その先の労働者──とくに非正規──の収入がなくなり、あえいでる最中にだ。しかも、そのマスクが不完全で、回収騒ぎを引き起こし、無駄な税金がジャブジャブと使われた。
その事象あたりから、これまで“忖度一色”だった雰囲気が変わり始める。一番わかりやすいのは、連立与党を組んでいた閉暗党の動きだ。それまでは完全に日和見を決め込んでいたが、旗色が変わるやいなや、官邸に乗り込み「国民のためである」という錦の御旗を掲げ、大衆迎合する案をねじ込み、自ちの保身を図った。
辞任の時も、あっけない幕切れとなった。第一次同様、“心身の不調”を言い訳にして、国会にも出てこなくなったのである。アルバイトスタッフよりもイージーに国家元首が“飛んだ”ことに、与党内も大混乱。国民は呆気にとられている間に、高部率いる派閥が一気に乗り出し、独裁政権を引き継いだのだった。
──国民に向けて高部が約束したことは一言。「全てを変える」だった。実際に、独裁を武器に矢継ぎ早に打ち出した各政策を、着実に実行へと移していったのだ。
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