ええじゃないか

ええじゃないか

　騒ぎたいから騒ぐ。それの何が悪いのか、お祭り気分になって、街を闊歩する。一人ではなく、群れをなして、ひたすらに進んでいく。

「ええじゃないか、ええじゃないか」

　たまりにたまった不満が爆発し、今まで外に出られなかった鬱憤が晴らされている。商店街を歩けば、次々に人が群れに参加し行列が伸びていく。「ええじゃないか、ええじゃないか」

　もはや騒ぐ声は同じ言葉しか言っていない。それはどんな意味があるのか分かっているものはほとんどいないだろう。私もその一人だ。

　気分は盛り上がり半狂乱している状態だ。夜の街を闊歩する抑圧から解放された私たちを止めるものはどこにもない。

　この群れはどこまで行くのか、それすら誰にも知らないのだ。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　了