日常の②-17『情事』

 簡単なパーティもゲストの退場で自然とお開きになってしまった。

 マンションの自室にノブナガは戻って来ている。このマンションはどの部屋も同じ作りになっていて、玄関のドアを指紋認証で開ければ長い廊下が続いている。


 背後から、華奢な女の子が付いてきていた。ドアを閉めて、強引に彼女を引き寄せる。


「ん…………」


 唇を奪い、腰に手を回したまま身体を引き剥がす。ふわり、と汗の香りを隠すような香水が、彼の鼻孔をくすぐる。それで、彼はもうそれしか考えられなくなった。


 ミツヒデの青いTシャツの裾から手を差し入れて、そのまま小さな胸を揉みしだく。ブラジャーをつたって、背中に手を。ちょっと少なめの脂肪がある肌の感触が、もう何度そうしたであろう右手に馴染んでくる。下着の接続部を外して、遮るものがない胸の感触を、ただただ貪欲に楽しむ。


 ミツヒデが小刻みに、我慢しようとしたけれど漏れ出てしまった声をたてる。それが耳に、脳に心地よい。


「しゃ、シャワーを…………」


「黙れ。玄関先だからな。声、出すなよ?」


 もう一度、唇で彼女の口を塞ぐ。

 わざと唾液で音をたてて、口内をいじめてやる。

 このビルの防音設備は完璧だ。ドアさえ閉じれば、相当に大きな音でもなければ外に音が漏れ出ることはない。そんなことは二人とも理解している。


 そういう、プレイ。そういう、教育の成果だ。


 唇を離して、小さな口を手で塞いだ。もぐもぐとした感触が掌に伝わる。胸から黒いデニムのウェストに向かうと、彼女の肌が、吐息が、温度を上げていく。

 指先に、湿った感触。


 そのまま音を立てながら、空いている手でボタンを外してやる。ついでに苦しそうにしている自分のも。

 昂る感情はもう抑えられる段階をとうに越えている。


「ご……、ゴムぅ…………」


「うるさい。ほら、自分で寝室まで取りに行ってみろよ」


 玄関の段差に向かって、背中を乱暴に屈ませミツヒデを這いつくばらせる。彼女が廊下のフローリングに手をつくと、双丘があらわになった。踝まで下げられた下着が、だらしなくノブナガを見返している。

 避妊具がなかろうと、彼女が抵抗するはずがなかった。なぜなら……


 あー……、なんでだっけ?


 くらくらしそうなくらい、ノブナガの頭がぼうっとしてくる。もう思考することすら、彼は放棄することにした。今はただ、彼女を愉しむだけ。


「んっ――――!」


 その中心の滴る泉に向かって、ノブナガは彼の衝動を…………

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