NHKオンライン〜筋力値ゼロで職業アクセサリー商人デバフ特化男の娘ショタの俺がPKの魔王になるまで〜
@Kitune13
第1話〜初めてのログイン
オンラインゲーム、Network Hunting Kindーー略してNHKはVRMMOとして世界的な人気を誇っていた。
そうプレイヤー数一億人越え、サーバーは全て一つに統一されており海外プレイヤーも混同している超巨大オンラインマップゲームである。
稼働してから三年、一億人を超える人口をもってしても未だに探索が終わらぬNHKはプレイヤーの増加数が緩やかになりながらも未だに増えていた。
プレイヤーキルから略奪戦闘、迷宮探索から生産職、バリエーションが多くやり込み要素が管理の量のため飽きることなく世界は続いている。
そんなオンラインゲームをVRギアにダウンロードして俺はゲームを起動した。
独特の浮遊感とともに視界一杯に水が広がり巨大な湖へと意識が落ちた。
両眼を開きなおせばそこは既に現実とは違った世界で幻想的な美しい森林に空を飛び交う妖精。
そして実際に感じられる程よい木漏れ日の暖かさ。
ここは現実ではないととても思えない、こりゃあ流行るわけだ。
俺ーー高橋鏡花は友人に誘われこのゲームを購入した。
三年前に発売されたゲームだけあって値段は少し下がっていたし友人の兄が止めるということからVRギアをもらい今回プレイできることとなったのだ。
このゲームでよく言われるのはゲームをプレイするための媒体の方が値段が高いのといいネット環境が必要でかなり面倒。
だがそれでも友人の協力と父の協力でやっとこさこのゲームを始められた。
ずっと気になってはいたのだ。
ファンタジー系のオンラインゲームで思考が全てゲームにトランスレートされまるで実際の体を動かしてるかのようにゲームの中で感じられる。
様々な人が第二の現実と呼ぶにふさわしいその世界、その世界でどうしてもやりたいことが一つあった。
巨漢の男になりたい。
そう、俺、高橋鏡花にはひとつだけ男としての欠点があった。
まずひとつ目、湖に映った顔には空色の碧眼が二つに凛とした鼻先、外人みたいな白い肌に整った顔立ち、生まれた時に外人の祖母の影響で真っ赤になった髪。
どんな乱数の神様が愉悦の神様と組んだのか男の俺は華奢な美少女の顔をしていた、下半身にアレは付いている。
男として失格と言ってもいいほどの美少女顔で小学校の頃から女男と呼ばれ中学では女子に新ジャンルグフフとニヤニヤされ高校では男と女の同級生に告られる始末、死にたい。
下駄箱を開けば男子からが八割、女子からが二割のラブレター、死にたい。
学校で水泳の授業もないし選択科目に体育がないから着替えるところを見られていないせいで男子か女子かわからない不思議ちゃん扱いされてる、死にたい。
そんなことがあって俺の目標はひとつ、男らしくなりたい!!
髪を切ってもショートボブの鏡花ちゃんはぁはぁとか言われたしもう、無理だと分かった。
だからこそオンラインゲーム、誰もが第二の人生というこの世界で俺は男らしい男になるのだ!
友人がログインしてくるのは明日で今日はひとまず先にアカウントを作っておこうということで起動したのだ。
確かネットで見たチュートリアルで始めた瞬間に湖に出るとのことだ。
うん、OK、どこからどう見ても湖だ。
そして次はーー
「NHKへようこそ。私はゲームチュートリアルAIジーシーアイです」
湖から金の剣と銀の剣を持った女神っぽい女性が現れた。
麦穂の様な銀髪に血みたいに真っ赤な両眼。
とても美人で妖艶さが醸し出されている、だが胸はない。
「新アカウントの作成でしょうか?セーブデータ、アルトをロードしますか?」
「新アカウントの作成です」
アルトというのは友人の兄のセーブデータだ、プレイ時間が確か数千時間とか言っていた怖い、怖すぎる。
流石に誰かのアカウントで始めるのは気がひけるので新規アカウント作成が良いだろう。
「では軽い説明を。このゲームはオンラインゲームで他者との交流が少なからず発生します。GM側は不適切な発言や不適切な行動は規制していません、いかなる行為もこの世界では合法となります。同意しますか?」
眼前にピコーンという音ともに二つのバーナーが出てきた。
同意しますと同意しません、無論同意しますを選択。
「ではキャラクター作成を始めます。生成しますか?もしくは既に設定されているあなたのリアルの体をゲーム内でも使用しますか?」
「新しく作ります!」
「わかりました。このゲームの容姿、体格はゲーム内での初期ステータスに直結しておりますがキャラクター生成完全ランダム生成となっております、如何なる訴えをされてもGMは対応しかねます。それでもよろしいでしょうか?」
「よろしいですよろしいです!早くお願いします!」
楽しみでしょうがない、ランダム生成といってもどうせ性別から適当に選ぶのだから今みたいな容姿になることなんて絶対にないだろう(※なります)。
それこそ女ならまだしも男なんだから男の娘になるなんて天文学的確率だし俺は生まれつき運がいい、宝くじだってしょっちゅう当たるしここは狙いの巨漢の男らしい男になるはずだ!(※なりません)
「ではキャラクター作成を行います、容姿生成は初期の街であるアルバロまでのローディング中に行われます。その前にキャラクターの名前設定をお願い致します」
眼前に名前入力欄が現れ、すぐにタップし適当に名前を入れる。
『んさういdbうぃyいえwbねwんくぇお』
うん無いな、そう思って消して適当な名前を考える。
ここは適当でいい、いやでも適当と言っても現実に近い名前の方がいいかもしれない、だってここは二つ目の人生と言われるのだからーー
三十分が経った。
「既に三十分が経過なされていますが、お体に何か問題が?」
「あぁぁぁぁぁ!!!!名前が思いつかないんですよォォォ!!」
そう名前が決まらない、どうするのが正解か。
まずい、本当にまずい、既に三十分を浪費している。
どうするべきか、どういう名前にすべきか、まずい本当にわからない。
リアルに寄せるかガチのフィクションネームにするか、いやそうした場合中二病時代の痛い思いでガァァァ!!
一時間が経った。
「良い加減決めてくださいよ、もうかなり時間経ってるんですがー?」
金の剣と銀の剣を疲れたと言って湖に投げ捨てたゲーミングチュートリアルAI様は草原で寝転がりながらポテチらしき何かを食っていた。
「ポテチ食い始めるなよ.......本当にAIか?」
「正真正銘のAIです、悩んでないで早く決めてください。ここは適当で良いんですよ。名前なんて呼び方でしか無いんですから、重要なのはあなたが誰なのかということなんです、知らんけど」
「最後のやつで台無しだよ!なんだか良いこと言うんだったらちゃんと言ってくれよ!?」
「面倒いんで早く決めてください。私この後クモトーーーークの録画消化しないといけないんですけど」
「本当にAIかよ!?」
クモトーーーークって人気番組なんでAIが観るんだよ!?
確かに面白いけどさ!確かに面白いけどさ!
と言うか本当に早く決めないと寝る時間になってしまう。そうなったら完全に時間を無駄にしたことになる。
とっととアカウントを作って巨漢男ドリームを達成しなければいけないのだ。
しょうがない、ここはあれだ。
たしか友人の兄のアカウント名がアルトだったっけか。
ならここは........
「キョーカで、キョーカでいいです!」
「はぁ、最高につまんない名前ありがとうございます。もっと閃光の刹那とかそれはエコだよ!とか這い寄るペテ公とか無いんですか?」
「お前本当にAIだよな!?」
「ではゲームの世界へいってらっしゃいませ。第二の人生を是非お楽しみください」
「いやお前ほんとーー」
聞き直そうとするが視界が目まぐるしく変わっていく。
万華鏡の様な景色の空間を抜けて眩い光のなかへと体は飛んでいった。
視界が真っ白に染まり、目の奥が少し痛い。
ここまでリアルだとちょっと恐ろしい、極度の痛みは軽減されると言うが知れたもんじゃ無い。
検証もしたく無いしな.......
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