いつか終わるのだとしても

隼子

第1話

人はみんな、己の人生の主人公だ。

膨大な数の選択肢の中から、一つの終着点に向かってそれに近づくための答えを探している。

漠然とした不安を常に心のどこかに抱えながら、周囲の反応に自分合わせる。

誰かのまねをしようとしても、それは模倣されたオリジナルに過ぎない。


と、まあこんだけ語った俺もそのうちの一人だ。

いつからか、馬鹿みたいにでかい夢を諦め、個性をみがくことをしなくなった。

他人に合わせることで周囲から認められた気になる。同じことをすれば変に浮くこともない。平穏に、ただただ何もない生活を送るだけ。


そうやって己を見失っていく自分に嫌気がさす。

でも、そんな自分を変えようとは思わなかった。

いまさら夢?ないない、現実を見ろ。そんな風に思っていた。


あの人と出会うまでは。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る