9話目
爽やかな風が希望と平和を告げている
その風を背中に受けながら
ネスタミア一行が洞窟へ戻った頃
遠く離れた場所にて。
そこでは残酷にも絶望と殺戮を風が告げていた
辺り一面に転がる死体
赤黒く染まった大地は静かに終わりを願う
国と国の戦争
それは王であれ奴隷であれ女であれ子供であれ
戦地で敵対したのなら殺さねばならない
ある荒野の真ん中で
ひとつの盛り上がりを見せる場があった
極端にガタイのいい男たちが
何かを囲うように盛り上がっていた
彼らの中心で2つ3つ、液体と共に
黒い何かが宙を舞う
飛んだ瞬間、囲みを作っていた男たちは
歓喜の声を辺りに響かせ大いに盛り上がっていた
辺り一面血の海だった。
その真ん中にいたのは2人の少年だった
双方首輪を付けられボロボロの衣服
そして手には刃こぼれの激しい剣を握っていた
握らされていた。
「あぁ…」
「…だ、い、いや…だ」
顔は恐怖に歪み体は常に震えに支配されていた
「ちっ、いい加減殺れや!このガキ共が!」
と、1人ガタイのいい男が叫ぶ
その声に同調するようにヤジを飛ばす
「し、死にたくない…死にたくない………
死にたくない死にたくない死にたくない…!」
「………………」
1人は死にたくないと何度も口に
1人は目に涙を溜め震え続けていた
「はぁ……」
どこかでため息が漏れる
それに応えるように
男が立ち上がり、剣を振り上げ、振り下ろす。
3つの動作だけで1人の少年の首が飛ぶ
たった3つの動作で1人の少年の命が消えた。
同じ動作を繰り返しただけで
また1人命が消え失せた。
うおおおおおおおお!
あはははははっ。
歓声が湧く
戦争の勝敗がここにて決まる
儚い少年の命2つを最後に地を濡らし続け
地に響かせた怒号、悲鳴、嘆き、恐怖
終了。
話は移ってネスタミアへ
結局全員ずぶ濡れになった
情けない事に誰もその後のことを覚えていない
ずぶ濡れで洞窟に戻ったあと
アーリアを寝かせ
酒盛り第2弾を開催したからだ
「ほらぁ!飲め飲め2人ともぉ!
夜はこれからだぜっ。
ウビャァァァァァァア!」
ネスタミアが叫び散らかし酒を流し込む
そんなネスタミアについていけない2人は
地面の上で転がりながら
お口から胃の中の物をぶちまけて青ざめて
力尽きていた
「うあぁぁpxgd@jh#/t6どぉお5738まなはな5おおおたと84618々○○☆°7||(|)-)あわppntや5よ!」
もはや人間が発する音ではない奇声を
しばらく上げた後その場に倒れ込んで
第2弾がお開きとなった。
翌日3人とも酷い吐き気と頭痛で悩まされ
指一本すら動かせなくなったのは
言うまでもない。
不死の少女と世界の果てで 一条 遼 @DAIFK
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