第24話「魔王軍のブラック労働化&若者の冒険離れ」
☆☆☆
「うーん、ルーファ、今日も仲間見つからなかったね~」
「うむ……」
ふたりは長期宿泊している宿屋の一階食堂で、これからの方針を話しあっていた。
ちなみに、客はルーファとリイナだけである。
冒険を開始して一か月がすぎ、ふたりは順調に冒険の旅を進めていたのだが――。
ふたりだけでずっと戦い続けたこともあって、ふたりともレベルがかなり上がっていた。それなのに、魔物たちは容易に倒せない。
おかしい。こんなはずはない。
(……なぜか我が魔王の時よりも、魔物が格段に強くなっているのだが……)
まさか現魔王の方針により、四天王はおろか末端の魔族や魔物たちまで血を吐くような鍛錬を奨励されて熟練度が上がっているとは前魔王であるルーファにはわからなかった。
ダークな闇の組織が人間社会的な意味でブラック化しているとは夢にも思わない。
そして、この魔王軍のブラック労働化――もとい、強化によって、世界では思いがけないことが起っていた。それは――『若者の冒険離れ』である。
もともと、キツイ・汚い・危険の三つをあわせた命の保証のない冒険ではあるが、今回の魔物の強化によって、怪我人が続出。
あまりの冒険の過酷さによって、若者たちはすぐに冒険を諦めるような状態になってしまった。
冒険開始から一週間以内に冒険をやめる率(離冒険率)が9割にも昇っているという。この『若者の冒険離れ』によって世界中の商売は上がったりになった。
冒険者景気をあてこんで宿屋の兼業を再開したレストランや村の飲食店はすぐに宿屋としての営業をとりやめ、先行投資して商品を買い集めていた武器屋や道具屋には破産が相次いでいる。
そして、魔物が強すぎて各町村との交通の往来にも支障が出ている。
こうなると、商人の往来も滞り、物資不足も日々深刻になっていた。
「……この先にある四天王の四ダンジョンに挑むには、さすがにふたりではきついが……こうなってはやむをえぬ。ふたりでいくしかないか」
四つのダンジョンにはそれぞれ四天王が配置されており、それを全員倒すことで魔王城への扉を開くことができる。
……なお、四天王が自分たちのダンジョンに戻ることもできず連日魔王様と側近のブラックすぎる戦闘鍛錬に駆り出されて心身ともにボロボロになっていることは、ふたりには知るよしもない。
「うーん、そうだね~……勇者パーティといったら四人が定番だって、お父さんとお母さんが言ってたけど、集まらないものはしかたないよねぇ……」
現在、この町にいる冒険者はルーファとリイナだけだった。
誰か来たら仲間に誘おうと思って町の周辺でレベリングをしたり装備を整えていたりしたのだが(さすがにメイド服は戦いにくくなってきたのでリイナも普通の武道家の服装にしていた)、いつになっても新たな冒険者は現れなかったのだ。
魔物が強すぎることで若者のレベリング離れも進み、ある程度のレベルを要求されるフィールドに辿りつけない状況になっていた。
だが、そんなふたりに意外な冒険者が現れる――。
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