僕の終焉物語

総督琉

僕の終焉物語

「ああ。これから起こることが予測できていたなら、こんなにも苦労しなかっただろうな」


僕は普通に生きたかった。

僕は普通に暮らしたかった。


だけど…コンピューターという物ができてから、世界は大きく変わってしまった。


「何で僕は…何もできないんだ!」


苦しかった。

誰にも助けられなかった。


そんな僕だから…命を捨てる選択ができるのだろう。



2020年夏。世界はコンピューターの暴走により、幕を閉じた。


幕を閉じたじゃ分からないって!? なら分かりやすく言おう。


「世界は…滅ぼされた」


ーコンピューターによって



ある日、僕のスマホの画面は知らない世界になっていた。


「どうしよう。どうしよう。どうしよう。どうしよう。どうしよう」


僕は混乱していた。昨日まで普通だった画面が起きたら謎の画面になっていたんだ。それで慌てない奴はいない。


僕はこのスマホに組み込まれているアプリを見た。


「ほとんどが宇宙に関する情報だな!」


僕は宇宙には興味があったので、このスマホに組み込まれている情報を何度も見返した。


【地球はなぜ創られたか?

そんな疑問は次の一言でかき消えるだろう。

世界とは…神が創った】


「神!?」


【神は魂を複数の力で囲んだ。

魂を肉体という力で囲んだ。

肉体を国という力で囲んだ。

国を星という力で囲んだ。

星を銀河という力で囲んだ。

銀河を宇宙という力で囲んだ。

宇宙を空間という力で囲んだ。

空間を時間という力で囲んだ。

時間をアルタナという力で囲んだ。

つまり。我々は多くの力に囚われている。だから我々は自由を掴み取れない。

だがある者が神に戦いを挑んだ。彼の名は…】


そこで文章は途切れていた。


「これが世界なのか!」


あれ!?画面には謎の線のようなものが地球の地図を動き回っていた。だがある時、その線がいきなり一方向に向かった。


「日本!?」


すると外の人がすごく騒いでいる。なんだろうと思い、僕はカーテンを開け、外を見る。


ーその頃、糸川研究施設にて


「君はネットを創った者を天才だと思うか。私はこう思う。ネットという技術は凄い。だけどネットのせいで、天災が起こるのではないだろうか?」


「何を言って…」


「そうだな。世界はどう終わるのだろうか?」


「隕石衝突とか?」


「糸川教授。君の思考はお花畑だな」


「じゃあ王川教授には分かるんですか?」


「そうだな。世界っていうのは、突如できた。なら…突如終わりを迎えるだろうな。そして…その日はもう来るだろう。唯一助かる方法は…彼のスマホに組み込んだシステムかな」


「王川教授?」


「さあ。世界の終焉を迎え入れようではないか」


地球の空をたくさんの宇宙船が覆う。


「まさか…」


宇宙船から宇宙人がたくさん降りてきた。宇宙人は民を次々に喰らっていく。


「おいおい。これはないだろ」


そして世界は終焉を迎えた。


「でもなぜこの世界の終わりの原因がコンピューターなのか?それはだね~、宇宙人はコンピューター特有の線を辿ってここに来た。なぜ来たかって?それはだね~人が欲深くなりすぎたから」


ーその頃、スマホにとあるシステムを組み込まれた少年は…


「はああぁぁ。はあぁぁぁ」


彼は逃げていた。宇宙人という異形の存在から。


彼が死ねば世界は終わるというのに。彼は戦うことをせず、何も理解できないまま。


いい忘れていたが、彼のスマホに組み込まれた世界を救う救済システムにはタイムリミットがある。


残り時間は1時間。


なぜこんなに短いかって?

それはこのシステムがあれば宇宙人の侵略は阻止されてしまうからだ。


じゃあこのスマホをどうすればいいかって?

それはすでに君たちに教えているよ。


「あれ!? 糸川教授は!? あーあ。逃げられちゃった」


ぼくはひたすら走り続けた。

生き残りたかったから。

死にたくなかったから。


でも考えてみたら良いことなんてほんの少ししかなかったな。こんな世界で生きてどうなるのだろう。


そんな僕のもとに、糸川教授が走ってきた。


「君だね。世界の救世主は」


何を言っているんだ!?


「実は君のスマホにはこの世界の命運が授けられてるんだ」


「命運?」


「ああ。ちょっとスマホを見せてくれないか?」


僕は教授にスマホを見せた。だが糸川教授も何も分からないようだ。


「そういえば…この画面にこの星の地図があって…それでこの線が宇宙船がたくさんあるこの日本に向かっています。だからこの線を何とかすれば…」


糸川教授は閃いたような表情をすると、謎の線に触れ、動かそうとした。


「何をしてるんですか?」


「実はだな、王川という者が宇宙船はコンピューター特有の線を辿ってここまで来たと言っていたんだ。だからこの線を動かせばどこかに消せると思う」


すると太平洋の海に円形の大陸が現れた。


「な…んだ?」


「多分、空想上の大陸。アトランティス大陸だ」


僕は混乱している糸川教授に言った。僕は都市伝説には興味があったので知っていたんだ。


するとスマホの画面に男が現れた。


「こいつが王川だ」


「やあ糸川教授。君たち二人のどちらかが、このアトランティス大陸に来てくれないかな。来てくれた方は…まあ世界の救世主になる代わりに、死んじゃうかもしれないけど…」


「俺がやる」


糸川教授は真っ先に名乗り出た。


「じゃあいいかな? 」


だけど僕は…


「僕はさ、自分の人生をネットに何か決められたくないんだよ。だから…僕はやるしかないんだよ。進むしかないんだよ。だから…こんな所で止まってられない。だって…これは僕の物語なんだから」


僕はネットが嫌いだ。だからこそ、ここで世界を変えるんだ。どんな結末になろうとも。


「王川。僕を転送しろ」


「君。何を言っているんだ! 王川。俺を転送しろ」


僕は見たことない場所に転送された。


「やあ、初めまして。王川です。私は世界を密かに護る組織で働いています」


「僕は最上もがみ 雄。よろしく。で、僕に何をさせる気だ?」


「ああ。それはもちろん、魂ごと消滅してもらいます。なので輪廻転生することは無いでしょう。どうです? やりますか?」


僕は悩んだ。でも今までさんざん苦労してきた。だから正直死にたかったんだ。だから…良いのかもしれない。


「理論上魂は消えます。でも輪廻転生にエラーのように組み込まれることもあります。ですので大丈夫かと…」


「王川。僕はやるよ」


僕は装置と連携してる巨大なカプセルの中に入った。どうなるのか分からない。だけど…きっと死ぬんだろうな。


でも…この世界が終わったところで根本的な解決には至らないだろう。だから…


「王川。お前がもっといい世界を創ってくれ。そしたら僕も生き返ろうと少しは思うかもしれないから」


「そうだね。じゃあたまには本気だそうかな」


そして装置が動き出した。


「さようなら。この星の英雄」


僕の魂をもとに、ネットワークの線の方向を変えた。宇宙船はその線を辿るようにこの星の外に出ていった。


「あーあ。こんな時に思い出す奴らがさっき会ったばかりの王川と糸川だなんてな」


もしこの結果を予想出来ていたのなら。僕はあの時アトランティス大陸には向かっていなかっただろう。だから生きるのは難しい。



ーそして宇宙船襲来から2年が経った。


世界はネットというものを捨て、新たなものを生み出した。それが…ギルドだ。


世界は、ネットを通しての関わりより、実際に会って話すコミュニケーションの重大さが必要とされた。だから世界は全てのネット機器を捨て、ギルドというものを創った。


ギルドは学校のような場所で、ダンジョン攻略のためにほとんどの者が加入した。


だが、まだ地球に忍び込んでいる宇宙人がいる。そんな彼らが創り出したのがダンジョンと呼ばれる建造物だ。


後に、天から神が舞い降りた。


そして世界は不便であろうとも、仲間との関わりを忘れないことをモットーに、悲しみはあるが、世界を平和で明るい国にした。


いつの間にか、神ですらその世界に紛れていた。

だから可能性には限りがない。



「ねえ。この子になんて名前を付ける?」


「英雄のような子になってほしい」


「なら…」


そこから13年後


「雄。ダンジョンに行くの?」


「うん。今日もモンスターを狩ってくる」

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