【幕間】 族[精霊] 科[ヒト] 名称[ジャック] 注意事項[海を渡る者]

 ◇族[精霊] 科[ヒト] 名称[ジャック]◇

  Bランク冒険者なみの強さと凶悪さを秘めた男。


 ◇注意事項◇

  海を渡る者・・・巨大な船を所有し、未開の大陸へと物資を運ぶ。



 ◇ウロク談◇


 朝早く、にんにく草肉鍋を食べた日の話だ。


 この後、町で購入し増強した装備は錆びた鉄兜、モォールバスター(木の棒)、シャドウウルフの毛皮マントもどき、鉄の胸当て、新品の革の服だ。


 朝早く出発したおかげで、ハマナ町には日が高くなる前に着いた。ハマナ町は港町で港には4隻の巨大な船が並んでいる。


 港町のせいか、ぎらついた目をした人々がたくさんいる。


 海を見ていたせいか少し恥ずかしいセリフが出てしまう。


 「もし俺が遠くの大陸を見たいっていったら、ついてきてくれるか?」


 エルミナにも事情があり、この大陸でやらないとならないことがあるかもしれないからな。


 「エルミナからもお願い!ディトナも一緒に冒険者やろう!」


 (はっ?えっ?エルミナに言ったんだけど)


 「ふむ。わるくないな。エルフの寿命は長いから、ついて行ってやるよ。よろしくな、リーダー」


 バンっと背を叩かれる。


 (はっ??えっ??ディさんがパーティーになってくれたの?!嬉しいけど・・・)


 ディトナの心から笑みで訂正する気分にならず、一生語れない秘密ができた瞬間であった。


 近場に冒険者ギルドが見えたので、ギルドに入り、中央にある巨大なルビー色の球体であるギルドオーブに触れて拠点を移す。


 ギルドオーブで、霧の谷のダンジョンの価値のなさを登録し、チャノ街へ生存報告を送ろうとするとエラーが出る。


 「ん?」


 ギルド職員がそばにいたので、エラーを報告すると、今、ギルド間の通信ができないとのことだ。


 あまりよろしくないが、魔物魔獣一覧にあるオークの履歴に、チャノ街のギルドへ連絡事項と履歴に書いた言い訳を登録した。


 (こうでもしとかないと依頼放棄で失敗になりかねないからな)


 次に服屋へ行き、今ある服を処分して、全員分新しい服を購入する。


 (ふとしたときに、匂いがするからな)


 次に武具屋へ行き、装備を整える。


 「おっちゃん。鉄の剣を見繕ってほしいんだが?」


 「おまえさ・・・あっ・・・」


 「じぃさん。頼んでた剣はできてるか?」


 先に武器屋のおっちゃんに話しかけたのは俺で、ちょっとムッとしたが、話を聞くと船を出す積荷で2、3日はどこの武器屋も手一杯とのことだ。


 武具屋で胸当ては買えたので、全員分胸当てを慎重する。銀貨300枚したが金貨銀貨1000枚があるのでへっちゃらだ。


 道具屋、雑貨屋、魔道具屋を見て回り。途中で紹介された宿に向かう。


 宿の夕食は、格安の料理で、味も濃く・・、エルミナもディトナも大満足だ。


 夕食後、俺が借りた部屋に戻ると、やけに強い眠気が襲ってくるが、今日買ったものを新品のズタ袋に入れなおす作業をしておきたい。


 気合と根性でズタ袋に入れていて、ふと思う。


 (おかしい)


 眠いだけで、こんなに思考力が低下するわけがない。


 ズタ袋から邪魔な銀貨をかき出して、取り出した袋の二重底からマジックバックを引き抜き、銀貨1枚と最低限の物だけマジックバックに突っ込んで隠す・・


 気絶する前に最後の力を振り絞って、購入したポーション鷲掴みにして入り口の扉に投げつける。


 ガシャーン


 (気づいてくれ!エルミナやディトナの耳になら届くはず・・・)


 バン!


 扉はガラの悪い男たちに蹴破られる。


 「ちっ!最後・・まで明かりが消えねーから、警戒してたのに俺らの・・・ポーションを割りやがって!」


 「ポーションぐらい気にするな。俺たち4大海賊連合だぞ!それに胸当て買うくらいのお金持ち様だ。見てみろベットに銀貨がたんまりだ。とっととジャック船長の船に積み込むぞ」


 「「「おー!!」」」


 俺の意識は深い底へと完全に沈み込んだ。

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