黒歴史戦線

彼女との日々

　それからの毎日は本当に楽しかった。

　放課後は彼女と魔法少女ごっこをしたり、俺の大好きな〝ドラゴンヴェール〟のキャラにもなりきってくれた。

　1年に2度、夏と冬に3日間かけて開催される同人誌即売会、コミックマウンテンでは親に連れられ2人でコスプレ参加もした。

　高校もおなじ地元の高校に進学しこのままの生活が続けばいいと思っていた。

　でもそんな楽しい日々も壊れるのは一瞬だった。

　彼女は高校に入って1週間した頃、俺を無視するようになった。

　口を聞いてくれないだけならまだいい。

　こちらに危害がないからまだ許容ができた。

　俺は放課後クラスの女子メンバーと彼女を含む3人が俺の机に落書きをしているところに出くわした。

　さすがの俺も腹の虫が治まらなかった。

「泉てめえ、何してやがる！ 俺になんの恨みがあんだよ！ 言いたいことがあるなら直接言えよ！」

　それを聞いて泉の隣にいる制服を着崩している金髪ロングのギャル女がこう答えた。

「言わなくても分かるでしょ！ アニメか何だか知らないけどさ言動も含めてキモイわけ、ねえ泉あんたも言ってあげたらどう？」

　それを聞いて彼女は口をあけた。

「歩、あんたさこの歳になってなによ、こんな馬鹿なことやってさ。キモイんだよねホントまじ、もう近づかないで」

　それを聞いた当時の俺はドン底に落とされた気分だった。

　今までの2人の思い出が全否定されたみたいで、俺はたまらずその場から立ち去った。

　それからの毎日はずっと一人ぼっちだった。クラスからは浮き、最初は回りからの目を気にしたが時間が経つうちに気にならなくなった。

　毎日机にキモイだのオタクだの精神障害者など落書きを書かれ、消していたがそのうちめんどくさくなった。

　運悪く2年も泉たちと同じクラスになった。

　そして今に至る。

　昼休みを終えクラスに戻ると、俺の席の周りには女子生徒達が座っていた。

　俺は自分の席が無断で使用されている事に憤りを感じ、思わずこう言った。

「どけ、邪魔だ！ ここは俺の聖域だ！」

　そう言い放つと、女生徒達は俺を睨みつけた後席の周りから退いた。

　いつも通り落書きの書かれた席に座り、その日は授業の始まりを待たず腕を組みながら放課後まで居眠りをした。