第294話 「世界観解説および人物紹介」

 物語の一区切りに設定を吐き出します。


 一人称視点では語れない世界観、ちょっとした小ネタおよび主要登場人物の紹介と未来の話など。


 よろしければどうぞ。



〇登場人物紹介その1


☆星神【女神/星の核/生命の母】


 登場人物紹介と言いながら一度も登場していない上にこれからも出ない思われる女神様。

 星の化身にして母なる大地。星のコアを依り代としている。


 数億年前には原始的な生物の進化を見守りながら穏やかに過ごしていたが、巨大隕石の衝突により地表が壊滅。

 隕石の衝撃により自転速度が急激に上昇し、空は常に激しい嵐と雷に支配され、さらに噴き出るマグマで全ての生き物が死に絶えてしまう。


 死の星となったことで星神は力を失い、長き時の中をただ嘆き悲しむしかなかった。


 そうしているときに出会ったのが宇宙を旅していた精霊神(男神)。精霊神の力を借りて星を再生した星神は小さな生き物たちを生み、龍を生み、魔物を生み、精霊神の頼みによってヒトを生んだ。


 全ての生命を愛する故に星神は特定の生き物に肩入れしない。

何かを優遇するということは、何かを冷遇することになるために。


 星の管理を龍たちに任せ、星神は今日も微睡の中で生きとし生ける者たちを見守り続ける。


 ――ちなみに、たまに目を覚ますと100年単位で気に入った魔物やヒトの話を精霊神に語り続けます。

 テンションが上がり過ぎると火山活動が活発になるので、毎回炎龍あたりが苦労して噴火を鎮めていたりします。


 それを精霊神が軽く注意してイチャイチャするまでがいつものパターン。そんな2人(2柱)は夫婦神。仲が良いし子供もいる。



〇登場人物紹介その2


★精霊神【男神/月/精霊の父】


 一度も出て来ない上にこれからも登場しないと思われる神様その2。神としては若い。


 星々の間を旅していた最中、星神の声を聞いて星へと降りる。涙を流す美しい女神の姿に心を打たれ、契りと共に星の再生を申し出た。


 以下、ちょっとした神話。



 星の惨状を把握した精霊神は自らの体を引き裂き、新たな精霊を生み出した。


 右腕を使い、火を噴く山を鎮めるために『火の精霊』を。

 右脚を使い、荒れ狂う海と雨を鎮めるために『水の精霊』を。

 左腕を使い、全てを削り取る嵐を鎮めるために『風の精霊』を。

 左脚を使い、無軌道に衝突する大地を鎮めるために『地の精霊』を。


 そして流れる血で小さな精霊たちを生み、最後に自分の体を“月”へと変えた。


 月となった精霊神は星と引き合い、月の引力で星の自転を安定させた。


 平穏を取り戻した地上に星神は歓喜の涙を流し、精霊神と永久の愛を誓い合った。それ以来、星と月は離れることなく共に在る。


 新たなる大地に星神はまず小さな生き物たちと植物を生んだ。

 次に、星に満ちる精霊たちと大地を繋ぐために龍たちを。

 そして、精霊神の力を取り込めるようにした動物たちを。


 最後に、星神はヒトを生み出した。精霊神から「私を信仰する生き物が欲しい」と乞われたからだ。

 精霊神は失った力と星の平穏を守るためにヒトを求めたのだった。


 かくして世界は今日に至る。

 世界は二柱の神に守られ――星には精霊神の力と精霊が満ち、地には神の力を宿した動物が満ち、ヒトは意思を神に捧げて生きている。


 ――創世神話、以上。



 精霊神の仕事は基本的に星の防衛。月を使って隕石を防いだり、邪神たちから星を守ったりしている。

 実はめっちゃ忙しい。


 ちなみに愛妻家なので星神が目覚めると体力が回復する。神は精神状態と能力が繋がっているのでガチで回復する。


 なお、コーサクを星に招いた張本人(神)でもある。



◇小ネタ1【原初のヒト】


 ヒトは精霊神に頼まれて星神が生んだ。しかし星神は当初、精霊神が言う知的生命体を理解できなかった。

 そのために適当に近い世界から同じような環境を持つ星を探し出し(地球)、そこで生きていた知的生命体(人類)を模倣してヒトを作った。

 なので、この世界に類人猿の痕跡はない。考古学者は大変。



〇登場人物紹介その3


□悪魔【幼神/時空の大精霊】


 願いを曲解して叶える超常存在。

 悪魔と名乗ってはいるが、実は精霊神と星神の第一子。両親より少し出番が多い。


 人の願いを叶えるのは趣味と実益を兼ねた行動。人の身に過ぎた願いを持つことへの罰を示し、ときには邪神の行動を妨害している。

 それはそれとして、やはり願いの叶え方は趣味の要素が強い。


 星の内であれば全能に近い力を持つ、自由奔放なトリックスター。


 ちなみに、両親のラブラブ加減が辛いので家出中。基本的には神としての権能を使い、旅人に扮して世界を巡っている。

 どこかの国のどこかの町で、悪魔とすれ違ったことがあるかもしれない。


 コーサクに召喚された際に、コーサクの正体と精霊神の意図を見破り、未来のために願いを叶えた。



◇小ネタ2【神と信仰】


 宇宙において観測されないモノは存在しえない。

 反対に、より多く、強く観測されるほどに存在の強度が上がる。


 定形を持たない神はより顕著であり、存在を認知され、信仰されるほどに力を増していく。

 故に神は星を育て、知的生命体に加護を与えて信仰を集めている。


 この星において全ての精霊は精霊神の一部であり、人が魔術を使うために精霊に祈ることがそのまま信仰とカウントされている。精霊信仰がそのまま精霊神への信仰。

 精霊の存在が当然であると広くヒトに認識されるほど、精霊神の存在強度は増す。


 なお、星神は星そのものなので信仰はあまり関係がない。星に生命が増えると力が増す。


 ――身も蓋もない言い方をすると、神は農家、星は農場、人は家畜。



〇登場人物紹介その4


▼コーサク【地球人/爆弾魔/お米の伝来者/精霊神の使徒/勇者の導き手】


 塩むすびを食べるだけで幸せになれる本作主人公。本名は米田耕作。フルネームは作中で2回しか出ていないので、覚えている読者の方はたぶんほとんどいない。

 覚えている貴方は記憶力がいいです。


 リーゼロッタが成長した後は稲作を広めることに尽力し、その過程で多くの料理も開発・普及させた。

 後年は「オコメの人」でコーサクだと通じるようになる。


 リーゼロッタが手を離れた後も様々なトラブルに見舞われ、その度に仕事を増やすことになる。

 最終的に関わった事業は膨大となり、肩書きも大量に増えた。臨時ギルド職員、商会の役員など様々。

 仕事が増えすぎたので会社も作った。


 妻のロゼッタとは仲が良く、ほとんど喧嘩もしない。かなり惚れている自覚のある愛妻家。リーゼロッタが家を出てからも、美味しそうに食べるロゼッタに見惚れていたりする。

(ロゼッタには話していないが、実は、ロゼッタにはほとんど一目惚れだった)


 三十を過ぎた辺りからは他人に食事を奢るのが楽しみになりすぎて、田舎のおじさん化しているのではないかと不安に思うようになる。が、周囲が満足そうなので毎回『まあいいか』と流している。


 地球から来た異世界人であり、本人に自覚はないが精霊神に召喚された“勇者の導き手”でもある。


 なお、選定の条件は5つ。


1.勇者が世界を愛するように導くこと。

2.勇者が巣立つまで生存すること。

3.文明を進め過ぎないこと。

4.邪神の侵攻に備えて食糧を増やすこと。

5.悪魔に出会うこと。


 この条件で精霊神が地球を検索した結果、最初にヒットしたのがコーサクだった。



 本人は意識していないが、異なる世界で病気にならないのは精霊神の加護によるもの。そもそも、神の加護がなければ世界を渡る衝撃で死亡する。

 魔力の察知および干渉の力も精霊神の加護の一部である。



◇小ネタ3【邪神】


 邪なる神々。

 知的生命体による信仰は神の力となる。そのため、神々は星と生命に加護を与え育む。

 前述の通り、それは神による農業のようなもの。


 しかし、自ら農業を行うことを拒否する神も存在する。理由は様々。司る概念により不向きな神もいれば――邪悪な意思を秘める神もいる。


 邪神たちは考える。自ら星を育むよりも、他から奪った方が早いと。


 ――ほら、あそこに食べ頃な、豊かに実った星がある――。



〇登場人物紹介その5


△ロゼッタ【慈母/元騎士/勇者の師/ギルド職員】


 本作ヒロイン。ドジっ子属性も今は昔、現在は立派に母親として成長中。


 得意属性は地と風であり、戦闘では作中でも上位の実力を誇る。持久戦に持ち込まれるとコーサクでも負ける。

 なお、妻の安全を考えてコーサクが毎年のように装備を改良するため、最終的に装備込みではコーサクは勝てなくなった。

(コーサクは後年、自分と同じ存在を想定して『魔術妨害』を妨害する魔道具を造った)


 リーゼロッタの乳離れ後に冒険者へと復帰したが、ギルド長に乞われてギルド職員へと転職する。

 受付ではなく、現地の調査や記録の作成が仕事。


 ――命知らずな冒険者がロゼッタをナンパした場合、良い笑顔のコーサクに訓練場に呼び出されることになる。



 かつてのロゼッタは重度のドジっ子だったが、これは一種の魔核障害だった。

 祖父の影響で幼少の頃から戦闘訓練を行っていたロゼッタは、大量の魔力を操ることが日常であり、魔核は自然と高負荷に適応した形へと成長した。


 これにより、戦闘では瞬時に魔力を全身に巡らせることが可能となる。しかし、その利点は日常生活に影響を及ぼすことになった。


 例えるなら、ローギアとトップギアしかないスポーツカーのようなもの。戦闘時では高いパフォーマンスを発揮可能な魔核は、反面、日常生活の小さな出力では制御困難となる。


 結果ロゼッタは意図しない膂力により、周囲に被害を及ぼすことが多々あった。


 ただ、その魔核障害も、リーゼロッタを妊娠したことで正常に近づくことになる。

胎児に安定した魔力を届けるようとする本能により、数ヶ月をかけて魔核は自然と変化していった。


 出産後からは激しい戦闘もないため、ロゼッタの魔核は昔より安定している。……とはいえ、生来不器用だったのか、時折思い出したようにドジをすることはある。

(ちなみに結婚前、コーサクの気を引くためにわざとドジを装ったことが数回あるが、これは一生の秘密)



◇小ネタ4【出生率・繫殖力】


 この世界の生物は、魔力により地球の生物より強靭である。

だがその反面、繫殖力は劣っている。


 原因は魔核にある。胎内で魔核が形を成すには母体からの潤沢な魔力が必要となる。

 そのため強い力を持つ生き物ほど母体の負担は大きく、一度に出産できる仔には限界がある。

 卵生も同様。大量の卵を産むのは小さな生き物に限られる。


 ヒトも例外ではなく、双子や三つ子などは極端に少ない。また、地球に比べ出生率も低い。


 この世界において、ヒトが地に満ちるためにはまだ長い年月が必要である。



〇登場人物紹介その6


◎リーゼロッタ【混血ハイブリッド/精霊の愛し子/爆撃の黒姫/お菓子マニア/勇者】


 天真爛漫、自由奔放、食べるの大好きおてんば娘。

 コーサクとロゼッタの長女であり、幼少期から桁外れの魔力を持つ。


 有り余る魔力を制御するために、5歳からロゼッタに教わり身体強化と魔術の修行を始める。

 同時に、『将来なにがあってもいいように』と、コーサクが野営や食べられる植物の知識などを実地で教え始めた。


 ――結果、家での勉強より野山を走り回ることが大好きな自然派少女へと成長することとなる。

 花より団子。オシャレよりお菓子。タローとアナ、その仔と共に毎日泥だらけで遊んでくる。

 コーサクはちょっと素直に育て過ぎた。


 コーサクの食へのこだわりを引き継ぎ、日々の食事をとても楽しみにしている。

 特に甘い物が大好物であり、甘味の類は自分で作るまでになる。


 成長すると、甘い菓子の材料のためなら魔境の奥地であろうと鼻歌混じりに突撃する。

 目当ての材料を見つけたときの表情はコーサクにそっくりだと、ロゼッタにはよく笑われる。



・戦闘面


 総合的な戦闘力では世界最高レベル。

 コーサクと同等の爆破属性の適性を持ち、地と風の適性もロゼッタと並ぶ。成熟後の魔力量はレックスすら超える。


 得意な戦法は爆破魔術によるゴリ押し。圧倒的な魔力量から放たれる爆破魔術は周囲を更地に変える。

 その様子から『爆撃の黒姫』という異名が生まれた。


 また、コーサクとは違い、爆破属性と異なる属性との複合魔術も操ることができる。爆破と地を併せた『地雷』、風と併せた『音爆弾』など。


 産まれる前に『はじまりの爆破精霊』から加護を授かった“精霊の愛し子”であり、戦闘時には無詠唱で放たれる爆破魔術によって近づくことすら困難。

 仮に近づけたとしても、ロゼッタに鍛えられた剣術によって迎撃される。


 戦闘においてはコーサクとロゼッタの完全上位互換。それに加えて娘を心配するコーサクが金に糸目を付けず装備を整えるので、手が付けられない。

 特級の魔石を使用した専用魔道具も持ち、さらに希少な精霊武具も装備している。


 弱点は手加減が苦手なこと。



・青春時代


 とある事情により、10歳から王国の首都にある王立学園に通うことになる。親元を離れた寮暮らしで、家に帰るのは年一回。

(コーサクは寂し過ぎて通信用魔道具の開発を始めた)


 両親から『やり過ぎないように』と釘を刺されたが、当たり前のようにやらかした・・・・・


 魔力は感情に影響を受けるものであり、未熟なリーゼロッタにとって感情の制御は難しい。

 初めての魔術訓練で同級生の男子から目立つ黒髪を揶揄われ、見事に暴発。多いに目立った。


 その他、在学中には両親以上に多くのトラブルに見舞われることとなる。

 大半を力技で解決し、その強引さは学園に数多くの伝説を残した。

 卒業後に振り返れば良い学園生活だったと、本人は満足している。


 目立つ容姿と優秀さから妬まれることもあったが、『お腹が空くと不機嫌になる』との父親の言葉を自分なりに解釈し、敵意を見せる相手には自作の菓子を持って突撃するようになる。


 その際、渡そうとした菓子を払い除けられる出来事もあったが、食べ物を粗末にする行為に対しては本気の殺気が出るため、最後まで拒否できた者はいない。

 膨大な魔力を伴う怒気は、そこらの魔物より迫力がある。



・使命


 本人に自覚は皆無だが、精霊神により選ばれた“勇者”の一人である。

 邪神の企みの一つを挫くことを使命として背負う。


 勇者としての真価は『魔力的な真空下でも行動できる』点にある。この世界の生物にとって、魔力とは生命活動に必要不可欠な要素の一つであり、魔力が存在しない環境では生きてはいけない。


 しかし、コーサクの血を引くリーゼロッタは無魔力下でも問題なく活動できる。

 全ての生命を拒む死の領域で、十全に自らの力を振るうこと。それが勇者リーゼロッタに与えられた祝福と使命である。


 とはいえ、リーゼロッタに精霊神の思惑など知る由はない。

 彼女はあくまで自分の意思で戦う場所選び、自分の使命など関係なく世界を救う。


 ――これまでの物語は全て、勇者誕生までの長いプロローグだったのかもしれない。



◇小ネタ5【名字】


 基本的に名字を付ける・名乗る文化は薄い。

 これは精霊の影響により髪や目の色が多様な上に、魔術適性や職業での判別が容易なため。

 火の鍛冶屋ガルガン。グラスト商会の配達屋リック。など、普段の生活はこれで済んでいる。


 なお、例外として貴族は名字を持っている。基本的には収める土地の名前がそのまま名字となる。


 名字を持たない平民を見下す貴族も多くおり、貴族の注文を請ける商人などは自分で名字を付けることが多い。大半は商会の名前をそのまま名字としている。



〇登場人物紹介その7


◆レックス【斬鬼/勇者の師/駄目親】


 最強の冒険者と言えば誰か、という話題になれば必ず名の上がる戦闘狂。

 仕事は魔物を狩ること。趣味は魔物を狩ること。


 好きな色は赤であり、全身を赤い色で装う変人。自慢の赤い髪が濡れると急激にテンションが下がる……と本人は言っているが、実は故郷が魔物により壊滅した日が雨だったことが原因。

 雨の日は治ったはずの傷が心を苛む。

 天候により躁鬱が激しい。


 リーゼロッタの師匠の一人であり、膨大な魔力を扱う感覚をリーゼロッタに教え込んだ。リーゼロッタからは『レックスおじさん』と慕われる。


 基本的に各地の魔境を放浪して、趣味と実益を兼ねた魔物狩りを行っている。

 友人であるコーサクのところに顔を出す頻度はそこまで多い訳ではなく、コーサクの知らないところで様々なトラブルを解決していたりする。


 事情のある貴族令嬢を助けたり、無謀な女商人を手伝ったり、村娘の頼みで難病に効く薬草を採りに行ったり、と、フラグがいっぱい。


 なお、レックス本人は知らないが、リーゼロッタと同い年の息子がいる。



〇登場人物紹介その8


□タロー&アナスタシア【白狼/子守り狼】


 コーサク一家の一員である2頭の白狼。タローはコーサクが拾い。アナスタシアはコーサクの昔馴染みであるディーンが保護した。

 ディーンがコーサクと再会したのは、アナスタシアを拾って5日目。群れに戻れないなら同族と一緒がいいだろうとコーサクに預けた。


 リーゼロッタとは兄弟同然に育つ。コーサクとロゼッタが手を離せないとき、やんちゃなリーゼロッタの面倒を見るのは2頭の役割。


 仲の良いタローとアナスタシアは自然と番になり、リーゼロッタが6歳のときに2匹の仔が産まれる。

 雄と雌が一匹ずつ。名前はジェロとファナ。


 コーサクは次郎と花と名付けようとしたが、リーゼロッタが発音できなかったので若干変わった。


 母親のアナスタシアの愛称であるアナとファナの発音が紛らわしいので、アナスタシアをアンと呼んだり、ファナをファニーと呼んだりする。


リーゼロッタと長く過ごしたためか、タローとアナスタシアはそれぞれ風と地の魔術を扱えるようになった。


 野生と違って食事に困らなかったため、タローは最終的に尻尾まで含めて6メートルを超える程度まで成長する。


 風の魔術により空気抵抗を無視して突撃する、6メートルオーバーの白い狼。

 でかい、速い、強い。まさに群れのリーダーの風格。


 なお、家の扉を通れなくなったので、コーサクは自宅をリフォームすることになった。



〇登場人物紹介その9


●龍と眷属たち【星神の子/星の管理者】


 様々な場所にいる世界の管理者たち。魔力と物質の均衡を保ち、星の環境を安定に保っている。意外と数が多い。


・氷龍

 帝国のとある山脈に棲む龍。冷気と精霊を集めることでヒトの生息可能領域を広げている。

 数百年に一度のサイクルで次代の氷龍を産み、南極まで飛んで溜め込んだ力を開放する。開放後は星の内へと還る。


 空を往く氷龍の幻想的な姿と同時に降り積もる大量の雪は、ヒトに龍の強大さを教える行進でもある。


 眷属は雪狐。


・地龍

 とある島国の谷間に棲む龍。島は地殻変動によって隆起した陸地であり、地龍は地表から深く力を伸ばして大規模な地震を抑制している。


 多様な面を持つヒトの生を愛しており、試練を乗り越えることと引き換えに島民に加護を与えている。

 積極的にヒトと関わる龍の中では変り者。


 眷属は意思持つ岩石ゴーレム


・水龍

 深海を回遊する龍。大海を利用し、邪神の攻撃によって発生した穢れをゆっくりと浄化させている。

 また、ヒトをはじめとした魔術を扱う生き物が魔力から変換した物質を、同量、海水から魔力へと変換している。


 仕事柄、水の大精霊と仲が良い。


 眷属は黒い大鯨。



・炎龍

 地下深く、マントルの中に棲む龍。生き物が絶滅するような、大規模な火山噴火を防ぐ役割を担っている。

 そのために、各地で定期的(数百年単位)に小規模な火山噴火を起こす。その役割からヒトと出会うことはない。


 眷属は蠢く溶岩マグマスライム



・天龍

 空を泳ぐ龍。手足は全て翼であり、地表に降りることはない。高高度で気体を操り、有害な宇宙線など防ぐ他、太陽の活動に合わせて星と宇宙間の熱の出入りを制御している。


 飛行する高度とその移動速度から、ヒトに発見されるにはもう少し時間を要する。


 眷属は空を漂う海月くらげ



・名称剥奪:悪龍

 かつては星を守る龍の一体だったが、邪神によって汚染されたため、星神により名前と共に大部分の力を剥奪された。


 代わりに邪神に与えられたのは、恐怖の感情を食らって成長する性質。

 ヒトを襲い、食い、野放しにすれば星の内側から神を食らう怪物にも成り得た。


 しかし、精霊神によって縁を紡がれた“ある剣士”によって討伐される。

 伝説にうたわれる龍殺しの剣士は、何代目かの勇者である。



・龍種の特別個体

 未だ名もなき龍たち。それぞれに特別な役割が与えられており、指定された条件が揃うまで眠り続ける。



◇小ネタ6【魔術適性と精霊語】


 ヒトが持つ魔術適性で最も多いのは、地水火風の四大属性。

 これは、精霊神が最初に産み出した大精霊たちが要因となっている。地水火風それぞれの大精霊は世界に対し強い影響力を持つため、ヒトの適性にもそれが現れている。


 また、星には意思の弱い微小精霊が満ちているが、同時に四大の大精霊をはじめとした意思ある精霊たちも偏在している。


 火の精霊に祈れば、世界のどこにいようと火の精霊に祈りは届く。魔術の発動も同様。


 ヒトが魔術を扱うには、精霊語で精霊に意思を伝えることが基本となる。

 精霊語の正体は精霊神が神の言語を劣化させたものであり、それ故に精霊神の一部である精霊たちに届く。


 なお、神の言語そのものをヒトが扱おうとした場合、理解した時点で死ぬ。



〇登場人物紹介その10


▽ルヴィ【村長/元狩人/第一発見者】


 コーサクがこの世界で最初に出会った狩人。コーサクに言葉や森での歩き方を教えた。

 一度は滅びた故郷を、仲間たちと協力して復興させる。


 再建した村はその成り立ちから、訳あり・・・の人物がよく身を寄せるようになった。


 村長として村を支えながら、幸せな家庭を築く。



◇小ネタ7【植生】


 星神と精霊神が地球の人類を模倣しヒトを産み出した際、ヒトの食用となる一部の植物も同時に模倣した。

 コーサクに馴染みのある植物が存在するのはそのため。もちろんお米も含む。


 なお、精霊神の力に満ちた土地に定着しているため、地球の植物と同一ではない。

 大きな特徴は生長に魔力を用いることができる点。というか、魔力がないと枯れる。


 また、食用の実などは基本的に味が良い。

 原因は魔物の存在。魔力により知能が高く五感も鋭い魔物は、野生でありながらより美味い・・・食物を求める。

 そのため魔物に食べられることで種を運ぶ植物の実は、人の手が入っていなくても甘く美味しい。

 その他、ヒトが魔術を用いて改良した植物も多くある。



〇登場人物紹介その11


えにしの精霊【大精霊/糸を紡ぐ者/幼神】


 けっこうな頻度で祈られているメジャーな精霊。本人は登場していない。

 星神と精霊神の第二子。苦労人属性。


 邪神の侵攻を防ぐため、日々運命の糸を紡いでいる。星を狙う邪神がいる限り仕事が減らない。超忙しい。労働環境はブラック。


 出会いと別れを司り、コーサクとロゼッタを引き合わせたのは縁の精霊。

 2人の出会いは世界規模の盛大なお見合いだったかもしれない。



◇小ネタ8【魔力の物質化】


 魔力は星に満ちる精霊神の力の一部であり、神が持つ創造の権能が現れたエネルギー。

 概念の具現化、物質への変換、物体の操作・性質変化等を可能とする。


 あらゆる原子に変換できる可能性を持つが、ヒトに物質化が可能な原子には限界がある。


 E=mc2乗の法則は異世界でも変わらない。

 重い原子になるほど、変換に必要な魔力量は跳ね上がる。普通のヒトでは、魔力から変換可能なのは元素の周期表で上から2段目まで。


 また、ヒトとの親和性から、変換されるのは水が最も多い。



◇小ネタ9【名付け文化】


 魔核は臓器の一つであり、魔力および魔術適性は基本的に両親から遺伝する。

 だが、あくまで基本であり、隔世遺伝や突然変異は起こり得る。


 稀に極端に魔力が少ない子が産まれる場合もあることから、『両親の力を正しく引き継げるように』というまじないいを籠め、子には親の名の一部を引き継がせることが多い。



〇登場人物紹介その11


△リリーナ・リューリック【才媛/都市代表/美貌の商会長】


 愛が重い天才少女。初出は15歳だったが、前話の時点で成人近くまで成長している。そろそろ少女とは呼べなくなってきた。


 食料品を扱う最大手リューリック商会の若き商会長であり、稲作を進めるコーサクとはよく行動を共にする。


 コーサクが稲作事業を拡大した結果、打ち合わせの関係でコーサク宅に顔を出すことも多くなる。

 美味しい食べ物が好きなリーゼロッタとは仲が良く、姉と慕われる。たまに一緒に新作菓子の開発を行う。


 微笑ましい光景だが、何故か家の中の緊張感が高まるのでコーサクは毎回首を捻っている。



◇小ネタ10【IFルート:自由貿易都市スタート】


 あったかもしれない物語。コーサクが初めから自由貿易都市に転移したルート。


 言葉も通じない+魔力がない超不審人物として自由貿易都市の兵士に拘束されるところから開始。

 怪し過ぎて都市代表の4人から直々に調べられる。


 結果、不可解な存在だが危険性が低いとして、興味を覚えたリリーナ預かりとなる。


 ――重圧を担う美しい少女商人と、どこか抜けた食事好きな青年が織りなす、商いと料理がメインの美味しい物語があり得たかもしれない。



 なお、悪魔が召喚されず、コーサクが魔核を得ることがないため世界的にはバッドエンド。



◇小ネタ11【精霊の誕生】


 精霊の誕生は精霊神が造り上げたシステム。

 ヒトによる新たな概念の創造または発見と、強い感情の発露が条件となっている。


 ヒトと精霊神、どちらにも利益のある世界の仕組み。

 新たな精霊が生まれることで、ヒトは対応する新しい魔術を使用できるようになる。

 そして精霊神もまた、自身が持ちえない概念を後天的に獲得可能である。


 これは邪神に対抗するための、精霊神の手札のひとつ。



◇小ネタ12【未来!!】


 精霊神は未来視の権能を持つが、自身と同等かそれ以上の力を持つ邪神という外乱により、全ての未来を見通すことはできない。


 よって、完全に未来を知る者はいない。もちろん作者も知らない。





 設定吐き出し、以上。


 スッキリ。

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