再勇者。
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メインストーリー
第1話『終わりの(が)始まり』
勇者「これで終わりだ…!!」
魔王「返り討ちにしてくれるわ……!!」
ここは変境地グラガナ、魔王城内部。
相対するのは勇者と魔王。
そして、2人を囲むように倒れている勇者一行の仲間達6人。7年の時を経てついに勇者達の戦いは最終局面、クライマックスを迎えていた。
この場に立っているのは勇者のみ。
全ては勇者に託される。
勇者と魔王、互いに余力なし。
次の一撃で全てが決まる。
もちろん相討ちなど存在しない。
辿り着く答えは2択のみ。
A、世界平和
B、世界征服
天国か地獄だ。
仲間達の思いと視線が向けられる中、勇者は2度剣を強く握り締め期待を背負う。対する魔王も残りわずかな魔力を右手一点に集中させ迎え撃つ準備を始めた。
勇者の表情にマイナス要素は微塵もない。
「どんな困難も全て乗り越えてきた…!!」
全てはこの日の為。得たもの失ったもの全てを精算する時が遂に来たからだ。余力のない状況に必要なモノは強さではない。ここまで来たらあとは気持ちだけ。正義?悪?いや、思いが強い者が勝つ。そう、ほぼ根性論だ。
勇者「うぉぉぉ!!」
魔王「うぉぉぉ!!」
先に飛び出したのは勇者だ。
出遅れたのかカウンターなのかはわからないが魔王は勇者の攻撃を迎え撃つ。
斬……!!
交わる攻撃と決着音。仲間達にはこの一瞬がスローモーションに感じ、光の中での影と影との交錯に見えた。
決着は……?
仲間達の視界が正常に戻り目の前は交錯し立ち位置を入れ替えた勇者と魔王。立ち止まり7秒の時を経過した。
勇者「ぐっ……」
勇者が膝をつく。
ニヤリ……
魔王は振り返り笑みを見せた。
仲間達「う、嘘だろ……」
魔王「俺様の勝利だーーーーー!!」
大声を上げ両手を上げる魔王、仲間達は視線を床に落とした。しかし、勇者の視線だけは魔王に向けられていた。
魔王「……?」
魔王は少し遅れて異変に気付き始める。
勇者はボソッとセリフを吐いた。
勇者「俺の……俺達の勝ちだ」
魔王の胸の傷口が錆び付いた門をメチャマッチョが力づくでこじ開けるように開いていく。
魔王「ば、バカな……!?」
状況は一変した。
魔王「この俺様が負けるだとぉぉぉ!?」
勇者「地獄でしっかり反省してこい…!!」
魔王「うおおおおぉぉぉぉぁぉぉぉぁぉ」
魔王の表情は歓喜から歪み、気付けば敗者の顔になっていた。胸から血を豪快にスプラッシュしながら消えていく体、魔王の最後の姿を勇者達は見届ける。魔王の姿に比例し闇に包まれた世界もみるみる内に晴れていく。
勇者「終わった……全て……」
勇者は立ち上がり剣を持った右手を高々と突き上げた。
勇者達は世界の平和を取り戻したのだ。
つづく。
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