息吹

ぷしゅけ

第1 Will

遺書というものを書いてみることにした、余命幾許というわけでも自殺する勇気があるわけでも(すべきであると感じることは多いが喜ばしき事に勇気がないのである)無いが、まぁ人間いつ死ぬかも分からないし、死後どうなっても構わないが、今のために必要になってしまった。要するに終わりを想定しなければ希釈され落ちぶれた怠惰な意思を変えることが出来ないような気がしたのだ。

こんなふうになってしまった理由はもちろん分かっている。無力なのだ、何一つ成功したことがない。もちろん本来の意味で何も成功してない訳では無い、私にとって本質的な無力感は『こうあらねばならない』『こうありたい』と願ったもの、誓ったものが叶えられていないのである。ここで浅ましき誓いを羅列すると本当の遺書になってしまいかねないのでやらないがとにかく私の祈りは全て『失敗』として結実してきている。膝を壊し、心を壊し。制度に裏切られ、特性に裏切られ。予想に反し失敗し、予想通り失敗しできた。どれだけ重ねてきたか分からないし、どれだけあってもフラッシュバックが逃すことは無い。苛まれ続けているのだ。無力感と過去の愚かさに。不可抗力はあったがそれでも私の努力はやり方次第で多くは変えることが出来たはずだった。でもやってこなかった。逃げ続けてきて逃げられなくなって人生が摩滅していく中怠けていた。


そんな自分を殺したくて仕方なかった。でも弱いせいで変えることも還ることも出来なかった。そのために儀礼的、魔術的な手段に頼ることにした。呪いをすることにした。口に出した。


『私は私である』

『あなたはあなたである』

『私はあなたでは無い』

『あなたは私ではない』

『お互いどうか幸せでありますように』

『私のことを忘れてくれますように』

『あなたのことを忘れられますように』


きっとなにも変わらないだろう、明日死ぬかもしれないと同じだ、存在するがその確率は低い。それでも『死』を『変化』を認識したことは何かしら意味があったのだと信じている。せめて幸せで居られますように。死ぬまでは。変われるまでは。そして『死んでしまった』ならば、臓器提供を望みます。そう、免許書の裏に丸をつけた。

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