アガパンサス

届かなくて良いと

言ったそばから

揺らいで


紫の花弁が咲く頃

誰にも言えなくなった

欠片だけ集めて

どうして見えなくなったんだろう

答えはわからないまま


届かなくて良いと

言ったのは強がる嘘で

大丈夫なんて言ってない

今頃薫る花弁を

意地悪な風が弄ぶ

何処へ行くの?

本当だけを伝えた手のひら

欲しいのは貴方の幸せ

それだけ


忘れることもなく

花弁が咲く度に薫り

想い出す

伝える言葉をなにも持たず

いつか変わるかもしれない

それでもこれは

忘れることのない想いを詰めた

言葉無き愛の便り。

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