皮肉な世界

改札を抜けると7時ちょうど

湿った空気が夏の訪れを教えてる

肩がぶつかって落とした視線の先

水たまりに映るネオンは

なぜか乾いたように見えて

ワケもなく悲しくなって来た道を引き返した

虚しさだけが残る


私の目に映ったあなたを

その瞬間ときから忘れてゆく

何もかもが鮮明に思い出せるなら

人は生きてはいけないだろう

皮肉な世界で息をしてる


6時の時報を刻むラジオ

赤と青のグラデーションは一日を

締めくくろうと淡い眠気を誘う

水たまりに映る私は

なぜか冷たいように見えて

ワケもなく虚しくなって来た道を引き返した

悲しさだけが残る


あなたの目に映った私は

その瞬間ときから忘れられる

何もかも忘れても思い出すために

人は生きてる それでいいだろう

皮肉な世界が息をしてる


霞んだ記憶は蘇らない

蜃気楼のような思い出に惑わされ

今日もまたガッカリして

なにかの拍子にふと思い出すけれど

やっぱり霞んだままで

あの日のあなた、あの日の私は

きっともう死んでしまったんだ


今この目に映った世界を

この瞬間ときから忘れてゆく

何もかもが懐かしく思えてしまって

人は時々、立ち止まってしまう

皮肉な世界 けどそれでいい

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