いろんな思い、いろんな考え、いろんな人生。

淡い朝日を浴びると

細胞が生まれ変わるような感じ

賑やかな商店街を避けるように

静かな坂道を地面とにらめっこ

間が悪い私は踏切に通せんぼされた

怖気づいて足踏みしてても何も変わらない


カンカン列車が走り抜ける

いろんな思いが吹き飛ばされ

いろんな思いが吹き込んできた

私だけ、なんて贅沢なおとぎ話

あの赤いランプが消えたら走り出せ

与えられた今を精一杯生きるために


鈍い街灯に照らされて

肺の奥から腐っていくような感じ

都会の喧騒から逃げるようにして

両の耳をイヤホンでそっと蓋した

どんくさい僕は赤信号に通せんぼされた

疲れて立ち止まっても時間は待ってくれない


ゴーゴー列車が滑り込んでくる

いろんな考えが地下に吸い込まれ

いろんな考えを余計に吸い込んだ

僕だけ、なんてワガママな武勇伝

あのベルが鳴ってからでは遅いんだ

消えゆく今を退屈では終わらせない


いつかはムカついた親も

いつもは愉快な先輩も

いつの間に好きなあの人も

みんなふとどこか遠くを見つめていた

その顔は虚しさで溢れて

危うく泣きそうになった

それでも前に進むのが人間なんだ

立ち止まってはいられないんだ


ゴトゴト列車は線路をまたぐ

いろんな人生がどこかで消え

いろんな人生が瞳に映り込む

あの人だけ、なんて羨む前に

よそ見せず目の前の階段を登れよ

濁流のような時間にしがみついて


鋭い眼差しに刺されて

息ができなくて力が抜ける感じ

言葉を失って喉から声が出なくて

大切なこと忘れベッドに潜り込む

いちいち改札に行く手を阻まれるあの人

ドギマギして後退あとずさるけどこんなに世界は冷たい


出発の合図はもう鳴ってる

君は君の魂を握りしめて今日も

君は君の魂を握りしめて明日も

君の体一つ、たったそれだけで十分

足場の悪い大地を蹴り上げるために

気合い入れて行けよ君は大丈夫だから

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