出口
勝利だギューちゃん
第1話
気がついたら、ただひたすら歩いていた。
何も見えない。
真っ暗闇の、道。
普段の僕なら、怖くて立ち止まるだろう。
でも、なぜか歩かなければいけない気がした。
義務なのか?権利なのか?
それは、わからない。
ただ、歩く事しか選択しはなかった。
でも、音だけは聞えていた。
その音のするほうに、僕は歩き続けていた。
不思議と体力は消耗しなかった。
なので、飢えも渇きもなかった。
それが、救いと言えば救いだが・・・
夢の中にいるような、現実のような・・・
それすら、理解できなかった。
「ねえ、疲れない?」
突然声がした。
初めてのような、懐かしいような・・・
「君はだれ?」
「私?私はあなた」
「僕?」
「うん。あなたは男の子。でも、もし女の子に生まれたらと思ったことはない?」
「ないと言えばウソになる」
「それが私。つまり、あなたはもうひとりの私」
手を握られてくる。
これは、恋人つなぎか?
「私とあなたは、恋人ではないけどね」
「そうだけど・・・ところで・・・」
「何?」
「君は、見えているの?」
「ううん。私も見えないよ」
「なら、どうしてわかるの?」
「匂いだよ」
「匂い?」
言いたい事は、わかった。
「僕たちは、どこへ行くの?」
「新しい世界だよ。ほら、光が見えてきた」
外へ出た。
何やら、騒がしい。
とても、喜んでいるようだ。
僕と・・・そして女の子は、泣いていた。
泣く事でしか、意志表示が出来なかった。
でも、かすかに分かった言葉がある。
≪おめでとうございます。元気な男女の双子の赤ゃんです≫
出口 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu
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