純白の花束

綾乃花

prologue

 


 白い花でいっぱいのお花畑で、一本だけを大切に握りしめていた。

 いつの間に持っていたのかわからないけれど、これはとても大切なものだ。だって心の底で温かいものがそう訴えかけてくるのだから。

 それからこの花を手放さないように、そっと包み込んだ。


 私はとても満たされた気持ちでくるくると舞い踊る。

 足元の花の花弁が舞い散ってしまうのも構わずに、くるくるとひたすら踊って、踊って。舞い上がったそれは飴玉となって私に降り注いだ。

 甘くて、ほろ苦い飴玉をポケットいっぱいに詰め込んで、思い出と一緒にくるくる回る。 

 このままずっと踊っていたいくらい、とても楽しい時間だった。

 嗚呼、このまま時が止まってしまえばいいのに。

 なんてありふれたことを考えながら、回っている。

 ぐるぐる、ぐるぐる回っている。


 回りすぎたのか少し目眩のようなものがしたかと思うと、胸がくるしくなって。


 目の前が突然真っ暗になった。

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