純白の花束
綾乃花
prologue
白い花でいっぱいのお花畑で、一本だけを大切に握りしめていた。
いつの間に持っていたのかわからないけれど、これはとても大切なものだ。だって心の底で温かいものがそう訴えかけてくるのだから。
それからこの花を手放さないように、そっと包み込んだ。
私はとても満たされた気持ちでくるくると舞い踊る。
足元の花の花弁が舞い散ってしまうのも構わずに、くるくるとひたすら踊って、踊って。舞い上がったそれは飴玉となって私に降り注いだ。
甘くて、ほろ苦い飴玉をポケットいっぱいに詰め込んで、思い出と一緒にくるくる回る。
このままずっと踊っていたいくらい、とても楽しい時間だった。
嗚呼、このまま時が止まってしまえばいいのに。
なんてありふれたことを考えながら、回っている。
ぐるぐる、ぐるぐる回っている。
回りすぎたのか少し目眩のようなものがしたかと思うと、胸がくるしくなって。
目の前が突然真っ暗になった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます