第31話 女の子泣かせちゃった!!
休み時間。僕は森川のクラスに向かってみる。一応、様子だけは確認してみよう。そーっと、クラスを覗く。森川は・・・居た!
森川は机に座って、一人で本を読んで居た。うーん、見事なボッチ振りだ。人の事言えないが。
でも、これだけじゃハブられてるかなんて分かんないよな。
様子を見てると、二人組の女の子達が森川に近付く。
「あ!」
危ない。思わず声を出しそうになった。二人組のうちの一人の女の子が、森川の本を取り上げたのだ。そして、その本を床に投げ捨てる。
これはマズイ!!森川がキレる!あいつがキレると厄介なんだよな。僕は森川がいつでも暴れるてもいいように、身構えて居た。いざとなったら、止めに入れるように。多分、そうなった場合一番ダメージ喰らうの僕だろうけど。
だが、予想に反して森川は暴れなかった。怒りもしない。ただ、だまって本を拾う。周りの女の子達もクスクスと笑う。
僕はあまりの事に言葉が出なかった。あの森川麗子ことウィル・ウォーカーが、黙ってるだけ。何もしない。
こーれは、なんとかしないとなぁ。
「森川さん・・・」
僕と同じように、廊下からその様子を見ている女の子がいた。小柄な子でとても大人しそうだ。
「ね、ねえ。君」
「は、はい!なんでしょう!」
過剰に驚く女の子。普通にいい子そうだ。
「このクラスの人?」
「は、はい」
「森川って、いじめられてるの?」
「あ・・・」
女の子は真っ青になって俯いた。
「私の・・・せいなんです」
「え?」
「私を庇ったせいで、森川さんはいじめられてるんです」
「ちょっ、泣かないで!!」
どうしよう、女の子泣かせちゃった!!
「と、とりあえず、こっちに」
僕は人があまりいない、階段の踊り場に女の子を連れて行った。
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