第17話 イマイチ・・・

「うーん。イマイチ・・・」


次の日の放課後。

神田は僕が徹夜して書いてきたプロットを読んで、微妙な顔をした。


「キャラはいいんだけど、ストーリーが」


「実はこれを参考にしたんだよね」


僕は、漫画ノートを取り出す。


「ああ。漫研の先輩が描いたやつか」


神田は漫画ノートをパラパラとめくる。


「成る程ね。でも、これをライトノベルにするのは無理だと思う」


「えー。面白いのに」


「キャラだけ真似すればいいじゃない。ストーリーは・・・そうねぇ。今流行りの悪役令嬢にでもしてみる?」


悪役令嬢・・・あれか。乙女ゲームなどの世界の悪役の令嬢に転生してしまうやつか。

・・・僕は転生先が普通の人間で良かった。


「分かった。書き直してみる」


「私のも読んで?」


神田が僕にノートを差し出す。


目を通すと、それは異世界転生ものだった。現世では完璧だった主人公が、転生したらダメダメ勇者になっていた・・・


「面白い・・・」


「本当!?」


「面白いよ!ワクワクする」


「本当?お世辞じゃない?」


「お世辞じゃないよー」


流石神田だ。たくさん小説を書いていただけあって、やっぱりうまい。


「神田って、どうして作家になりたいの?」


「え?何よ、急に」


「いや、興味があって」


ライトノベル部を作るほどだ。そこまでする彼女の熱意のきっかけを知りたい。



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