前世は極悪魔王で友達ゼロだったので、現世は友達を作って青春しようと思います。

もこもこ

第1話 僕は友達が居ない

前世とは、ある人生を起点として、それより前の人生のことをさす。

基本的に人は自分の前世を忘れているものだが、ごく稀に思い出す人もいる。僕もその一人だ。


僕、一ノ瀬葵はどこにでもいる普通の中学三年生だ。顔は平凡でメガネ。よく名前負けしていると言われる。だが、成績は一応良く、県内一の進学校を受験するつもりだ。

あ、ついでに言っておくが、僕は友達が居ない。ぼっちだ。

理由は簡単。興味が無いから。同い年の連中はどうも子供っぽくて話が合わない。後、単純にコミュ症だ。


僕はずっと一人で構わない。そう思って居たのに・・・。


話を戻そう。人には前世というものがあるが、僕は前世を思い出してしまった。しかも、階段から落ちて。痛かった。

信じられないかもしれないが、僕の前世は魔王だったらしい。

今流行りの異世界転生の逆パターンだ。

記憶によると、僕は極悪非道の魔王様として恐れられていた。いったい何をしたんだ、僕は。

最終的には勇者に殺されてしまったが。

そして、死ぬ間際の言葉は


「来世こそは友達を作る・・・」


おい。そういう事を言うな。来世のやつが、つまり僕が困るだろう。

なんと、前世の僕は友達が欲しかったらしい。だったらなんで、魔王になんかになったのか謎だ。


というわけで、僕は友達を作らなければいけない。一ノ瀬葵の人生とは関係無いが、仕方がない。僕は義理堅いんだ。

どれ程、前世の僕が寂しかったのかは、なんとなく思い出したし。


どうせ、四月から高校生だ。高校では友達を作り、青春を謳歌してやろうじゃないか。

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