第15話「武装JK」
「ん~? 猛ぅ、リロード中のサイドアーム使用は基本だよぉ?」
「へ?」
ニッコリ笑ったナナミが、なんでもないように猛に振り返る。
別れの笑顔にしては実にいつも通り───。
その手に握られた武骨な───……。
パンパンパンパンパンパンパンパンッ!
「え?」
《ゴルァ……?》
何が起こったのか猛もオーガも理解できなかった。
ただ、ナナミだけは全くいつも通り。
まるで化粧道具でも触れるかのように、手慣れた様子でホルスターから引き抜いた拳銃を全弾発射。
至近距離でぶっ放されたのは、トカレフTT33───自動拳銃。
その、武骨すぎるフォルムから7.62mm
「……私は死なないよ。猛───」
フゥと、トカレフの銃口から立ち上る硝煙を吐息で拭き散らかすと、
「───だけど、レディ相手に不意打ちは感心しないねぇ。えいッ」
バァン!
《ゴァ……───!》
きっちりとトドメのAKを頭部にぶち込むと、ナナミはついに数体となったオーガに向き直ると獰猛な笑みを浮かべる。
「さぁ! 続き。きっちりみっちり、トドメだよぉ♪」
ニヒヒヒ、と可愛く狂暴に笑う女子高生についにオーガが屈する。
ガクリと膝をつき首を垂れる。
あるオーガは尻もちをついて、みっともなくズルズルと後退り。
そして、全てのオーガが最後の最期で命乞い。
いやいや、と首を振って懇願するオーガ。
情けなくも、みっともなくとも、殺さないで───と……。
「あれ~? さっきの威勢はどうしたのかな? ん?」
彼らの心情はいかほどか。
確かに何十と数を誇り、さっきまでちっぽけな人間など圧倒していたはずだ。
精強な騎士団だってあっという間に平らげて見せた。
そうとも。ジャイアントオーガがいなくとも圧勝だったはずだ。
なのに……。
なのに…………。
なのに──────!
たった一人に勝てない?
「どーしたのかなぁ? ジュネーブ条約では抵抗の意志を意思のない兵士は殺しちゃいけないけど、」
ニッコリ笑ったナナミ。
……何だコイツは?
……何だこの人間は?
……何だこれは──────?
「───君たちは条約批准国じゃないよね~?」
何なんだ、この
ニヒヒヒヒヒ。
ご、ゴァァァアアアアアア?!
「ありゃ? 命乞い?………………今さら遅いねぇ。まずはカラシニコフにお伺い立てて見なよ」
《ゴァァアアア!! ゴァァア!!》
《ゴルァァァア!! ゴォオオオ!》
「何言ってるのかわっかんないよ~」
バババババババババババババババババババババババババババババババババババババッ!
「………………7.62mmは慈悲深いでしょ? ニヒッ」
ナナミさんのとってもいい笑顔。
容赦なく最後の一体まで7.62mm弾をぶち込むと、「ふぅ」と額の汗を拭う。
そして、
「おらぁぁぁああああああああ!!」
猛の方でも戦闘は終盤に差し掛かりつつあった。
気合と同時に、オリハルコンの刀から放たれるのは地を這うような衝撃波!
それが大地に下草を刈り取りながら迸り───オーガ数体の足を刈り取る。
グルァァアアア?!
「トドメぇぇぇえ!」
叫び声をあげながら倒れ伏したオーガに走り寄る猛。
一体ずつトドメを刺していき───。
「猛ぅ。こっち終わったよ~」
「ふんッ!! ラストだぁぁぁあ!……────って、」
───おっふ!
……も、もう倒したの??
(ナナミさん、っぱねッス……)
猛がようやく最後の一体を仕留めた瞬間。ナナミがおっとりとした声で戦果報告。
僅かな差でナナミの方が先に殲滅したらしい。
そのことに気付いて、二人していい笑顔。
「一個小隊殲滅したよ!」
「お、おう」
ナナミのVサインに、サムズアップで答える猛。
猛自身も大活躍し、あっという間にオーガを薙ぎ払って行ったというのに、ナナミの射撃音のインパクトが強すぎて、彼の戦いが地味に見えるのだから逆にすごい……。
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