自称『最強の魔導書』と名乗る少女と一緒にスローライフをしてます

こうじ

俺のじいちゃんは変わり者

「すいませ~ん、お届け物です」

「あっ、はい、ちょっと待っててください」

 店の扉がガラガラと開き宅配便の人が大きな木箱を台車に乗せて入ってきた。

 俺、瀬和知之は店のレジの引き出しから印鑑を取り出し受け取り印の所にポンと押した。

「ありがとうございました~」

 そう言って宅配便は出ていった。

「じいちゃん、また怪しい本を見つけたのかよ······」

 差出人は俺のじいちゃん瀬和剛蔵、この瀬和古書店の主人であり自称『奇書ハンター』と名乗り世界中を飛び回っている。

 胡散臭いと思う人もいるが世の中にはコレクターがいてじいちゃんは依頼を受けている。

 その旅先で面白そうな本を見つけては家に送ってくる。

 売り物としての物もあるしただ単に趣味で購入した本もある。

「まぁ、面白いから良いんだけどね」

 俺はそんなじいちゃんが好きだしこの古書店も好きだ。

 小さい頃から遊びに行き本を読んだりじいちゃんの話を聞いていた。

 じいちゃんの話は嘘か本当かわからないぶっ飛んだ物が多く飽きなかった。

 成長してからは行く回数は少なくなったが高校に入って理由はわからないがイジメのターゲットにされた。

 基本1人でいたし暗かったのが原因だったかもしれない。

 次第に学校に行くのが面倒臭くなりじいちゃんの元を訪ねるようになった。

 俺がじいちゃんに相談すると『学校に行かなくても人生は楽しめるぞ』と言ってくれた。

 その言葉が嬉しかった。

 それで学校は辞めた。

 退学する、て両親に話した時は怒られるか、と思ったけど意外にも反対されなかったけど、その変わりじいちゃんの店を手伝う様に言われた。

 要は中々店にいないじいちゃんの変わりに店番をやれ、と言う事だ。

 俺も引きこもりになるつもりは無かったので店番の話は好都合だ。

 そんな訳で俺は現在に至る。

「今回もなかなかのもんだよなぁ」

 木箱を開けて中身を確認しながら本を出していく。

 本の中身は誰かの日記だったりファンタジーに出てきそうな魔導書っぽかったり色々ある。

「ん? コレ、何にも書いてないじゃないか」

 紫色の表紙に辞書並みに分厚い本なのだがページを捲っても何にも書かれていない。

 心の目で読め、と言ってるんだろうか?

 が、とあるページで手が止まった。

 脳内にある言葉が浮かんだのだ。

「ぺリス······ミアラ······カモナ?」

 その言葉を呟いた瞬間だった。

 突然、本が光輝き出した。

「なっ、なんだっ!?」

『深紅の魔導書、起動。ただいまより人型モードに移行します』

 機械的な音声と共に閃光が辺りを包んだ。

 俺は『あっ、厄介事になりそう』と思った。

 

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