男子校の日常
ゆゆさくら
入学
僕の名前は藤川貴洋。
ぴちぴち(?)の高校一年生だ。
今日は待ちに待った高校の入学式。
自分で言うのもなんだがいわゆるオタクというやつで中学では教室の角の席でラノベを読んでいるようないわゆるぼっち、というやつだ。クラスメイトともろくに話すこともできずコミュ障と女性不信も抱えている。そんな僕が共学に通えるはずもなく男子校へ。地元の人たちと顔を会わさないように電車で一時間のところに進学した。男子校なので僕と同じような悩みを抱えている人もいるかも知れないしそういう人達と仲良くしたいと考えていた。
さあ、頑張るぞ。
桜が散る中初めてくぐる校門。期待に胸を膨らませて入学式の会場である講堂に入った。
中にはこれから同級生となる人達が大勢入っていた。なかなかの難関校だけあって塾の知り合い同士で固まっている人もいれば一人でカチコチになって緊張している人も大勢見受けられた。席は来た人から詰めていく形のようだ。席に座った後は何も考えずただ前を見ていた。
「お前、大丈夫か?もう入学式終わったぞ。」
と話しかけられ僕は意識を取り戻した。
いつの間にか入学式は終わっていたようだ。一生に一回の機会をこんな形で終わらせてしまったことを少し後悔した。それはともかく
「君は誰?」
そうだ。この目の前にいるイケメンだ。初日から髪を染めてきていて僕としてはあまり関わりたくないタイプの人間だった。
「俺か?俺の名前は桧山直也だ。クラスは3組だ。お前が微動だにしないで固まっていたから心配して話しかけただけだ。」
前言撤回。彼は見た目はあれだけど優しい人のようだ。彼と仲良くしたいと思った。
「起こしてくれてありがとう。僕の名前は藤川貴洋。クラスは、ってクラスわからないな。どこで見るの?」
「お前見てないのかよ。講堂の前にクラス表あるから見て来いよ。俺も探してやるから。」
どうやら浮かれすぎて見落としていたみたいだ。桧山くんと一緒に探すと僕も彼と同じ3組で出席番号も前と後ろであることが分かった。
「前が原口で後ろが藤川だったのは覚えてたんだが…。まぁいいや。これからよろしくな、藤川。」
「うん。よろしく。桧山くん。」
こうして僕は一人目の友人(?)を得ることが出来た。
「ただいま。」
もう話せる人が見つかったよ。
これからは心配しなくても大丈夫だよ。
だからずっと
見守っていてね、母さん。
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