下級クズ悪魔の奮闘記 〜悪魔になったので取り敢えず大魔王目指して頑張ります〜

家暮しのオジエッティ

第1話

「黒井悠真様、貴方は先ほど残念ながら25年の人生に終止符を打ちました。貴方は死んでしまったのです。私の名前はシルマ、死を司る女神です。そしてここは死後の世界です」





いつここに来たのかは分からない。

気づいたらここにいて気づいた目の前のお姉さんが俺は死んだと言ってきた。


周りは全て真っ暗でこの闇がどこまで続いてるのかも分からない。だがこのお姉さんの事だけは何故だかハッキリと視認することができる。


そのお姉さんは今まで見た女性の中でも間違いなく一番綺麗な人だった。それはもうこの世のものとは思えないくらい。


透き通った艶のある銀色の髪。

見ているだけで吸い込まれそうになるような

水色の目。

透明感のある真っ白な肌。

そしてスタイルも抜群だった。

出ているところは出ていて締まっているところは締まっていた。

年は10代にも20代に見える。


そんな美女に見惚れていた俺だったがつい先ほどこのお姉さんが言った言葉を思い出す。


…死んだ?いやそんな筈は…たしか俺は日課の散歩の途中ですれ違うカップル全員に「爆発しろ!」と言って満足した後部屋でVRゲームをしていた筈だ。


自分で言うのもなんだが俺は就職活動に失敗してニートになるまで中学、高校、大学と全て超名門校に通っていた。おまけにスタイル抜群でイケメン。


そんな俺は何故だかモテなかった。

それに悩みに悩みまくって出た結論がある。恐らくスーパーハイスペックボーイなこの俺に話しかけるのが恐れ多すぎたのだと思う。まったく、完璧すぎるというのも困り物だね。


おっと話を戻そう。だから部屋でVRゲームをやっていた俺が死ぬのなんてあり得ないのだ。


だがこの真っ暗な空間といい、目の前の人間離れした美貌をもった美女といい、ここが本当に死後の世界でこの人が女神って言うなら納得できる。


だけどなー…何でゲームやってた俺が死ぬんだ?ありえなくないか?だとしたらなんで死んだんだ?


「あの、すいません。俺が死んだって言いましたが俺は何で死んだんでしょうか?」


「貴方はホラー系のVRゲームをしている最中ゲーム内で殺されてしまった衝撃が強すぎて現実世界でも脳が死んだと勘違いして死にました」


……………は?

え!?今この子なんて言った!!

俺、勘違いで死んだって言わなかった!?

嘘でしょ…そんなダサい死に方ある?

じゃあ俺はあの頭につける装置をつけたまま口をバカみたいに開けて今死んでるってこと!?な、なんで……なんで俺なんだ!どうせならイチャついてるカップルにしろよ!


恥ずかしい、そんな死に方恥ずかしすぎるわ!

はぁ…もう家帰っていいですか?

…あ!、俺死んだんだった


とあからさまにショックを受けている俺を見て女神様は同情するような目で


「ま、まあ…意外とそういう死に方する人

多いんですよ?だ、だからあんまり気にしなくても…」


「やめて!俺を慰めないでええええ!」


いやああああああああああ!!

まさか俺の脳味噌がそこまでポンコツだったとは!死因を聞いた親とか友達どうリアクションしたらいいんだよ!

俺だったら腹抱えて笑ってるわ!!


「…えっと、ショックを受けているところ申し訳ないのですが、貴方にはこれから天国に行くか地獄に行くかの裁判を受けてもらいます」


そっか…俺本当に死んだんだな…

…はぁ、やだなーまだまだやりたい(脱童貞)事沢山あったのに…


まあ、普段からこの世の悪と戦ってきた俺なら天国行き間違い無しだろうけどさ…


「…と、普段なら言うんですが今なら何と今の記憶を持ったまま異世界転移出来ちゃいます!…ただし悪魔になって」


はぁ…どう…………ん!!??

異世界転移!?今異世界転移って言った!?

マジ?マジで!?うおおおおお!

めちゃくちゃ嬉しいぞ!

これで俺も異世界で俺TUEEEEできるんだ…………な?


………この女神、最後なんて言った?

悪魔になってって聞こえたんだが?

気のせいかな?流石に女神様が悪魔を増やすような真似はしないだろう…たぶん


「あの、多分聞き間違いなんですが…最後に

悪魔になってって聞こえたんですが…」


すると女神は歯切れが悪そうに


「ええ、その…悪魔になってもらって異世界転移です」


……おい、聞き間違いじゃなかったぞ!?

女神が悪魔増やしてどうするんだよ!

ていうか流石に嫌だぞ悪魔になるのだなんて!

これは別に俺の信仰心が強いからではない。

異世界に行ったのに人外生物ハーレムなんて

お断りだからだ!


「こ、これには事情があってですね。実は我々地球の神はその異世界の神とは敵対関係でしてね。このまま我々が負けると地球は異世界の神のものになってしまうのです。だから前から力を落とさせるためにその世界の悪魔たちを支援してきたのですが、どうやらかなり押されているようで困っていたのです。そこで我々は新しい悪魔をこっちから送っちゃおうという話になったのです」



そんな事情があったのか。

…だが俺は絶対にならないぞ。異世界に行ったらハーレム。これだけは譲れない。


「あ、悪魔といってもほとんどが人間の姿と変わらないものばかりですし…ほら、今なら一個だけ特殊スキルもあげちゃいます!」


なんだって!人間の姿と変わらないだと!

はっ!よーく考えてみれば悪魔にはサキュバスだっているじゃないか!よし、なろう悪魔に!


「分かりました、やりましょう。ですが一つだけお願いがあります」


そう言うと女神様は真剣な表情で


「はい、なんでしょう。私に出来ることであればなんでもしましょう」


「じゃあ「ダーリン!、シルマのために異世界に行って欲しいの。お願い!こんなこと頼めるの悠真様しかいないの!大好き!結婚して!」って言ってもらえます?」


「えっ?いや……あの、その…それは…」


「はあ…地球の女神様は自分で言ったことも守れないのか。やっぱ異世界行くのやめよ」


「ちょ、ちょっと待ってください!それとこれとは話が別で…」


「俺はこの耳でちゃんっと聞きましたよ。

ゴホッ、ゴホンッ「私に出来ることであればなんでもしましょう」って言ってましたよ!」


「なんでそんなに声真似上手いんですか!?はあ…あーもう、分かりました!分かりましたから!………その…ダ、ダーリン!シルマのために「「俺の目を見ながら言ってください!!」」っえ?、あ、はい!ゆ、悠真様、シ、シルマのために異世界に行って欲しいの!お願い!こんなこと頼めるの、ダーリンしかいないの!だ、だ、だ、大好き、……ケッコンシテ」


エクセレントゥッ!!素晴らしい!!最後の顔を真っ赤にして今にも消えそうになりながら言った"結婚して"はアカデミー主演女優賞級だ!


「分かったよ、ハニー。ハニーのために俺、異世界に行く!」


すると女神様は顔を更に真っ赤にした


「は、はい!…あ、ありがとうございます。その…ハニーって言うのはやめてもらっていいですか?」


ふぅ、流石にからかいすぎたか。これ以上は話が進まなくなるからやめとくか


「分かったよ、ハニー」


「もうっ!本当に怒りますよ!?」


おっと、俺としたことが。無意識にハニーと言ってしまった


「すいません、ちょっとふざけ過ぎました」


「ほんとですよ、もう…。コホンッ、では気を取り直して。黒井様、このカタログの中から好きなスキルを一つ選んでください」


あっ、スキル貰えるって言ってたの忘れてた

よし、慎重に選ばないとな…


「超再生」 「超魔力」 「超怪力」………


いろいろあって悩むなー

こんなに下の方まであるのか


「あ、そっちの下の方はそんなに強いスキルじゃないので下のスキルなら2つ選んでいいですよ」


下の方のスキルは弱いのか……おっ、鑑定だ!異世界ものでは定番スキルの鑑定先輩じゃないですか。これも弱い方に分類されるのか?


「それは「鑑定」ですね。相手の名前やレベル、スキルなどが分かるなかなか強いスキルでオススメですよ。ただ直接自分の力になるわけではないので下のほうに置いてあります。それと悩んでいるようなら「光属性耐性」を取っては?悪魔の最大の弱点って光属性の攻撃なんですが悪魔って光属性耐性のスキルは持てないんですよ。ここで持っておくと結構いいと思います」


ほう、光属性耐性か。普通だとゲットできないらしいし、最大の弱点を補えるならこれにしてみようか


「じゃあ、「鑑定」と「光属性耐性」でお願いします」


「分かりました。ではそのスキルを設定しときますね。あ!あと向こうの言語も設定で理解できるようにしてあるので安心してください。」


おお、言語か。大事な事を忘れてた。危ない危ない。


「それでは異世界に転移しますので少々お待ち下さい」


そう言うと何やら呪文を唱え始めた。


すると俺の足元に魔法陣が現れた。

おお、これが魔法か。


「それでは黒井悠真様、今から行く世界の名前はカストル。そこでは名前を………そうですね…オルガンと名乗ってください。向こうに行ったら力をつけて最終的には神全員をやっつけちゃってくださいね!陰ながら応援してるので!あ、あとほんの少しですがお金も渡しておきますね。それではご武運を!」


俺の足元にあった魔法陣の光がどんどん強くなっていく。


ふっふっふっ、待ってろ俺のチーレムライフ。そしてさようなら俺に合わなかった世界!

ハーッハッハッハッハッh、あれ?眩しすぎない?これ大丈夫かな。眩しっ!痛い!

これ目が痛いぞ!ちょ、止めて!これ止めて!いやああああああああああ


「「ヴォンッ」」








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