第8話 取り調べ3
「兎に角、あなたの研究成果、そして治験者を確認しないとならない。言わなければ超法規的手段に出る。これは上からの許可が出ています。苦痛を味わう前に話しておいたほうが身のためになりますよ。っとに、記者会見直前にあなたのパソコンや資料、そしてあの助手以外全部消えるなど手の込んだことをしてくれたので、こちらは総動員だ」
と、宇都宮秀男は苛立ちを見せ始めていた。
「自白剤か?拷問か?まぁ、自白剤程度だろうけどな」
と、目を閉じながら那珂湊教授は言うと、
「その全てですよ。あなたの言葉を返せば想像出来る全ての手を使ってでも吐かせて見せます」
「そうか、やってみなさい」
と、那珂湊教授は目を開け宇都宮秀男の目をしっかりと見た。
「あっ、もしや自分自身を」
「研究というものは患者にするときには安全の確保が最優先でなければならない。その患者が自分の愛する者なら尚のこと。違うかね?」
「私は天涯孤独、早くに両親を亡くし、育ててくれた祖父母ももう他界した。私は、仕事しかない。この仕事を誇りを持って全うしてきた。この仕事しかない」
宇都宮秀男、その言葉は真実で仕事をただひたすらすると言う典型的な日本人と言って良いだろう者だった。
その為、那珂湊教授の取り調べを任されていた。
「そうか、失う必要のない大切な方を失ったか」
と、那珂湊教授が口にしたとき、宇都宮秀男は察した。
「不老不死まで出来るのか?」
「はははっ、安い誘導尋問だったかな?答えはイエスだ」
「本当にどこまで貴方は人間から離れた」
「答えを聞きたければ私を自由にすることだよ」
と、言うと那珂湊教授はまた目を閉じ沈黙した。
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