番外編5 低身長がゆえにジュースが買えない。
青山いちごは高校1年生。
なのだが、見た目はとても高校1年生には見えない。
童顔で低身長。小学生と見間違えるほどに幼い。
そんな青山は現在、絶賛戦闘中だ。
自動販売機と。
「ふんっ・・・くっ、と、届かない・・・!」
自動販売機の一番上の段にある、いちごミルク。彼女はそれが飲みたいのだが、届かない。ジャンプしても届かない。
「あともうちょっとなのに・・・」
届きそうで、届かない。
そんな苦闘している青山の近くを黒川が通りかかった。
「ん、いちご・・・?何やって――ああ、届かないのか。」
なんだかんだ敏感な黒川はすぐに察した。
「しゅ、駿兄・・・」
しかし、ここで届かないと言ってしまえば自分がちびだと認めているようなものである。
自分をちびだと認めた瞬間、もうこれ以上身長が伸びない気がして、そういったちびですよ発言はしないと心に誓っている。
「こ、これは、ジャンプの練習してるだけだから・・・!届かないとかじゃないから!」
「ああ、そうかそうか。じゃあ応援してやるよ。ふぁいとー。」
「ちょ、もっと心込めて応援しなさいよ!別に応援してくれるのは嬉しいけど・・・」
「心こもりまくりじゃねえか。がんば。」
棒読みの黒川。
「だから全然心こもってないって!見てなさいよ・・・。えいっ!」
ピッ。
買えた。
「だから言ったじゃない!届かないんじゃないって!早く飲・・・」
買えた。
ドリアンジュースが。
「なんなのよこれーーー!!!なんでこんなのが学校の自販機にあるのよ!誰が買うの!?」
青山は匂いのきつい食べ物が苦手なのである。
よってドリアンも大の苦手だ。
いちごミルクを飲むために今日は何も飲んでなかったため、かなりショックが大きい。
しかも所持金は0円。もう買えない。
「ううっ・・・、私の今日我慢してたのにぃ・・・」
ピッ。
「ほら。」
「え?」
「いちごミルク。飲みたかったんだろ?」
ここはさすがの黒川。
「わああ・・・。ま、まあ、どうしても私にあげたいってなら、もらってあげるわ・・・!」
「ああ、じゃあ、もらってくれ。」
「し、仕方ないわね・・・。まあ、ありがとね、駿兄・・・。えへへ・・・」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
その日の夜。
「むむむ・・・、飲めない・・・!」
想い人からのプレゼント。なかなか手が出せない青山であった。
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