第4話 カッコつけたがゆえに白髪美少女と図書委員をすることになった。
始業式の次の日の朝。
今日から通常授業が始まる。
だんだんと憂鬱になっていくのだろうが、今は新しい環境のおかげでとてもうきうきしている。
今日からモテ道を極めるんだ。
その一歩目はそう、登下校を一人ですることだ。
ふみが隣にいるとほかの女子が俺に声をかけづらいのではと考えた。
いつもふみが家のインターホンを押す時間はだいたい7時半。
今日は7時20分には家を出るぞ。
朝の弱い俺だが今日は頑張って早起きして準備をした。
そろそろ時間だ。すまない、ふみ。俺がモテる為が故、仕方のないことなんだ。
「行ってきまーす。」
ガチャ。
いつぶりだろうか。一人で登校をするという、の、は・・・。
「えぇ!どうしたの駿!インターホン鳴らしてないのに出てくるなんて・・・」
(なぁんでいるんだよぉぉぉぉぉぉ!!!!!!)
「おおおおおおおはよう、ふみ。ちょっと早く目覚めてな・・・」
顔を合わせると、さすがに一人で行くとは言えない。
「わ、私も早く目が覚めちゃったんだ・・・!」
(ホントは毎日駿と登校するのが楽しみで、いつも6時には目も覚めっちゃって、待ちきれなくて7時前には家の前で待機してるなんて言ったら、もうメンヘラ認定されちゃうもん!!駿メンヘラ嫌いみたいだから、死んでもそんなこと言えないし!てか私メンヘラじゃないし!!)
「ぐ、偶然だな・・・。じゃあ行こうか・・・。」
(初日から失敗すると、なんか登下校一人でとかどうでもよくなってきたな・・・)
こうして、俺の一人登下校計画は消え去った。
まあ、彼女が出来た時は、ふみもそこは気を使ってくれるようになるだろう。
「今日の放課後は、学級委員の集まりだから忘れないでね!」
「ああうん、わかったよ。」
今日は各クラスの学級委員が集まって、顔合わせをする。
「あとそうだ。俺、今日はその後にもう一つの委員会の集まりもあるから、一緒に帰れないわ。」
「あ、そうだったね。駿、カッコつけて2つの係掛け持ちしたんだったね。」
「かっこつけたけど、それは言うな。てか、そういえば俺、何の委員か見てなかったわ。」
「いや普通気になってみるでしょ!駿は図書委員だったよ!」
「なんでお前が知ってるんだよ。」
「あ、いや、それは、その・・・」
「お前・・・」
敏感な俺にはわかってしまった。
「先生に提出する用の係分担表、書いてくれたもんな。」
「そ、そうだよ!じゃないと駿の係知ってるなんてストーカーみたいじゃん!」
敏感な俺は、起きていた出来事はかなり鮮明に記憶するようにしている。
中途半端敏感野郎は大事な部分を忘れ、自分の都合のいい場面しか覚えていないことによって、ちょっとの出来事で「この子、俺のこと好きなんだ」という、勘違い思考に至るのである。
「そういうわけだから、今日は先帰っててくれ。」
「そっか、わかった。」
(あれ。こいつのことだから「ヤダ!帰りに気になってるケーキ屋さんについてきてほしいから待ってる!」とかで待ってるかと思ったけど、すんなり受け入れてくれたな。)
(帰ると見せかけて、いないと思っていた私が「実は一人はさみしくて、待ってたんだ。だから、一緒に帰ろ?」とか言えばかなり好感度アップだよね!?この駿を萌えさせるイベントは必ずものにしてやるんだから!あと、帰りについてきてほしいケーキ屋もあるし。)
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
放課後。学級委員の集まりを終えた俺は図書室へと向かう。
ちなみに、学級委員の中の委員長にもなってやったぜ。
16:00から学級委員会で16:30から図書委員会。
うちの学校は学級委員、代議員、書記を上級委員とし、他の係と兼用可能なので、上級委員とその他の委員の会議の時間はこのようにずらしてくれている。
着いた。図書室。
(てか、もう一人の図書委員は誰だったんだ?確認するの忘れてた。)
扉を開けるとほぼ全員の図書委員の人が集まっていた。
(2年B組の席は・・・。あそこか。)
ここで隣の席に座っていた人物を見て、俺はもう一人の図書委員を知ることとなった。
「白谷・・・さん・・・?」
思わず声に出してしまった。
「えっ?あぁっ・・・、はい・・・。こ、こんにちは。黒川くん、だよね・・・?」
「そ、そうだよ。これからよろしく・・・」
やばい。可愛すぎるぞ。やはりこの人はかなりの美少女だ。
白谷さんに緊張しているうちに、担当の先生がやってきた。
「今から担当する曜日の分担をしてもらうから、希望の曜日をそれぞれのクラスで話し合って決めてくれ。」
「「・・・・・・・・・・・」」
(そういえば、ふみ以外の異性と話すことなんて滅多に無いから緊張するな・・・。ここは落ち着いてスマートに。)
「は、はははは白谷さんは、なななな何曜日がいいとか、ある?」
(よし!!今のはいい感じだよな!言い切りだしだ!!)
「わ、私は、いつでもいい、けど・・・。」
「そそそそそそっか!じ、じゃあ、空いてる曜日にしよっか。」
緊張がやばい。変な汗も出てきた。
だがとりあえず会話はできたから上等だ。俺の中では。
俺と白谷さんの担当曜日は水曜の放課後と金曜の昼休みになった。
今日は火曜日であるから、つまりは。
「じじじじじじじじゃあ白谷さん・・・!明日委員会だから、よ、よろしくな!」
「う、うん。こちらこそよろしく・・・。」
「お、おおおおう!じゃあ、ま、また。」
(何とか乗り切った・・・。やれやれ。こんなんじゃ彼女なんて夢のまた夢だな・・・。早く女性慣れをしなければ・・・。)
俺たちの学校の図書室は三階にある。
図書委員会が終わって、俺は靴箱へと向かっていた。
(今日はふみもいないし、早歩きで帰るか。)
そんなことを考えながらちょうどB組の前を通りかかったとき。
「あ、あの・・・!」
振り返るとそこには。
「は、ははは白谷さん・・・?ど、どうした・・・?」
彼女から発せられた言葉は、敏感すぎる俺でも予想だにしていなかった言葉だった。
「く、黒川くん・・・。よかったら、い、一緒に、帰らない・・・?」
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