第2話 幼馴染と話してたがゆえに睨まれた(?)
「皆さんがこうして全員無事で顔を合わせてくれたことが校長先生はとても嬉しいです。---」
始業式。校長の長い話から、俺たちの新学年が始まった。
なぜ小中高とどの校長も話は長いのだろうか。
長いだけでなく、おまけにつまらない。
本当につまらない話なのか、俺がまだまだ子供だから退屈に感じるのか。
まあ、俺はいつまでも少年の心を大事にする主義だから、大人になればこうだとか、そう考えるのは時間の無駄だ。
頭の中で、いきなりここに怪人がやってきて、俺がヒーローに変身して倒すという妄想をしているうちに、校長の話は終わりを迎えていた。
この妄想、僕ちん大好き。
「今日からこのクラスの担任となる、虹岡だ。よろしくな!」
俺たち2年B組の担任は、虹岡先生となった。
面白くて、生徒想いで、授業もわかりやすく、人気のある先生だ。
さらにイケメンなものだから女子人気も高い。羨ましいぜ。
「二時限目は自己紹介と、係分担するから、今のうちに何にするか決めておけよ。」
「ねえ駿。駿はまた学級委員になるの?」
俺の隣の席の赤海ふみが聞いてくる。俺の席は左から二列目の一番前で、左隣にふみがいる。
「多分な。いや絶対なる。」
人に指図されるのが嫌な俺は、常にリーダー的係に就きたがるのだ。
「ふーん、そうなんだ。わ、私もしてみようかなー、なんて。」
「え、マジで?」
ふみは元気で明るい性格だが、大勢の人の前に立つのは得意としていない。
「う、うん。駿とだったらしてみたいかなぁとか思ったりしてですね・・・。」
おい、これ中途半端に敏感な奴だったら「俺のこと好きなんじゃね」って勘違いしちゃうセリフだぞ。
中途半端な敏感時代の俺が似たような経験をしたのだから間違いない。
あれは中学2年生の秋。
春からメッセージアプリ「LION」で話してた女子がいた。
会話は途切れることもなかったし、「LION」だけでなく、直接話したりもしていた。
これだけ話してくれるなんて、俺のこと好きに違いないと思った俺は、その子に告白をしようとした。
告白決行日(予定)の前日、ふみがどうしても行きたいと言って、学校帰りにショッピングモール内にできたクレープ屋に連れてこられた。
そこで俺は見てしまった。
その子が彼氏らしき人物とデートしているところを。
なら俺へのあの態度は何だったんだろうか。ふみの前では見せなかったが、帰ってからまあまあ落ち込んだ。
後から聞いた話だと、その子は誰にでも愛想よく、俺に接してたみたいに、全員に接していたらしい。
その日以来から、中途半端に敏感にいることを改めて、敏感すぎる男となり、相手をしっかり見分ける力をつけようと思った。
あと、だれにでもやさしい女子は苦手になった。
「ねえ、聞いてる?駿。」
「あ、あー、聞いてなかったや。なんだって?」
「だから、なんか私さっきからあの子に睨まれてる気がするんだけど・・・。」
「あの子?」
「ほら、あの左から4列目の一番後ろ。」
「おいおい、初日からそんな奴がいるわけが・・・。」
ちらっと見てみる。
めちゃめちゃ睨まれていた。
相手は女子で白髪のボブヘアーがよく似合っている。そんなこと今はどうでもいい。
俺たちはひっそりと話し合う。
「ぎゃああああああああ!なんなんだあの子!殺し屋のような目つきしてますけどぉぉ!?お前何かしたのか!!」
「私何もしてないし!初めて見た顔だし!!」
「なら何で睨まれてんだよ!思い出せ!そして謝ってこぉい!」
「ホントに何もしてないから!!」
キーンコーンカーンコーン
「「ほっ、助かった・・・」」
それにしてもなぜ睨まれていたのか。怖い怖い。
「あの女何・・・。黒川君に近すぎ・・・。」
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