第3話
「これから席替えするぞー」
無事、始業式を終え名簿番号の所に座ると
担任の勝山仁先生がそんなことを言った。
席替えはどうやらくじ引きで決めるらしい。
俺みたいなぼっちは、窓側の一番後ろに
行って静かに、平穏に暮らしたいものだ。
俺はそんなことを願いつつくじを引くと
廊下側ではあるものの一番後ろの席に
なった。
見渡せば、リア充グループが席の場所の
話題で盛り上がっているようだ。
よく、席替え一つで盛り上がれるものだ。
べ、別に羨ましくなんかないんだからね?!
などと内心気持ち悪いツンデレを発揮した
ところで気づく。
(隣のこの女子って、あの図書館の?)
前ばかり気にしすぎて隣を見ていなかった
が隣の席の女子は今日図書室でみた
女子生徒であった。
彼女は周りの人と話したそうにキョロキョロ
しているが話しかけられないらしい。
分かる!分かるぞその気持ち!!!
俺も中学の頃に友達づくりにはげもうと
したのだが結局誰にも話しかけられずに
終わったことがある。
みんなに話しかけていた人たちも声を
かけてくれたが
「はっ、あ、あぅあ」
とかなんかキモいこと言って終わった。
そして、そのあと安定のぼっちライフさ。
…思い出したら涙が出そうになってきた。
そんな過去は水に流し、開き直っていると、
「あ、あのー…」
なんと、俺に声をかけてきた。
俺はとりあえず無難に返しておく。
「は、はい?!」
よし、ちゃんと返せたぞ。
昔は話しかけられるだけで慌てていたが
ちゃんと返せたみたいだ。
と、自分の成長に涙を流していると
「ひっ!ご、ごめんなさい!」
何故か謝ってきた。
「い、いえこちらこそ」
あれ?人と話すのってこんな精神使うん
だっけ?もっと気楽じゃなかったっけ?
気づくと隣の彼女は前を向いていたので
俺も次の時間の準備をするのであった。
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