第4話
(彼に、愛を伝えられなかったことがとてもとても、悲しかった…)
シュトュルは朝早くから図書館に行き、レヴィアタンについて調べていた。そして、レヴィアタンの童話を何度も読んでいた。
(恋に悩む乙女達にとりついた、そして、嘘を言わせて幾つもの恋を壊した…私が、恋に悩む乙女?婚約者との関係では悩んでいたけど…嘘、『好き』の嘘は『嫌い』私、既に婚約者の事、苦手なんだけど…)
レヴィアタンは、シュトュルと婚約者のこの微妙な関係を壊して楽しいのだろうか?
シュトュルはレヴィアタンに聞いてみようと思ったその時…
「シュトュル?」
誰かがシュトュルの名を呼ぶ。はっとシュトュルが顔をあげると、そこに居たのは、窓から溢れる太陽の光を反射してキラキラと輝く蜂蜜色の髪に吸い込まれそうな紫色の瞳を持つシュトュルと同じ年頃の少年、彼の名は…「レイディエ殿下っ」
この国の第二王子。そして、シュトュルの婚約者。シュトュルは慌て礼をする。
「あ、すまない、読書の邪魔をして…本、読んで構わないよ」
「いえ、構いません。もう、読み終わってますし…」
「そうか…」レイディエ殿下は顎に手を添え何か考えているようだった。
「シュトュル、このあと、何か用事とかあるかい?」
レイディエ殿下は唐突にそう、聞いてくる。「い、いえ…特にありません…」
そう、シュトュルが言うと、レイディエ殿下は少し嬉しそうな表情を見せる。
「なら、このあと、一緒にお茶しないか?こないだ、君が気に入りそうな喫茶店を見つけたんだ。是非、君と一緒に行きたくてね。どうかな?」
(お茶…行きたくない…今日、殿下と会うなんて思ってなかったから、心の準備も出来てないし、レヴィアタンに聞きたい事もあるし…だけど)
相手は王族、機嫌を損ねるわけにはいかなかった。だから…
「私で良ければ…」
そう言って、なんとか笑みを浮かべる。
殿下は、嬉しそうな笑顔をシュトュルに見せる。
「そうか!じゃあ、今からでもいいかな?」
そう聞けば、シュトュルはただ頷くことしか出来なかった。
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