執筆
結局、頭の形が変わるまで
では、この大音量のラテン音楽は一体どこから聴こえてくるのだろうか。
血糊のついたバットを片手に、私はもう一つ上の階へと行ってみることにした。地上階にオーナー以外の住人はいないはずである。もう誰かを警戒する必要はなくなったが、万が一ということがあるかもしれない。
照明の点いていない二階に上がると、右手に伸びる廊下の奥からラテン音楽が聴こえてきた。まさか他にも住人がいるのだろうか。
いつでも迎撃できるように金属バットを構えた私は、音に
はじめは暗くてよくわからなかったのだが、廊下の半ば辺りまで進んでみると、奥にある部屋のドアの隙間から明かりが漏れているのが目に入った。ラテン音楽もますます大きくなってきている。
バットのグリップを握り直し、息を殺して部屋のドアへと近づき、ノブに左手を掛けたところで動きを止める。軽く呼吸を整えた私は覚悟を決め、思いっきりノブを
これは一体どういうことなのだと廊下へ出た私は、隣家と接触している壁の向こう側から、重低音をきかせたラテン音楽が響いてくることに気がついた。
部屋から漏れる明かりに照らされた壁をよく見ると、間に合わせの騒音対策と
どうやら
金属バットを元の位置に戻して自室へと戻ってきた私は、爆音で鳴り響くラテン音楽の重低音をBGMに、パソコンの前に座ってウェブ小説の執筆に取りかかった。
人を
オーナーの遺体が見つかるのはまだ当分先のことだろう。現在、世の多くの人々は新型コロナウイルスのパンデミックによって外出自粛を
ここ数日の出来事を短編ホラーとして書き上げた私は、それを実話かフィクションか判断がつかないように言葉を濁し、いつも利用している小説サイトへ新作として投稿した。
まともな倫理観だけでは面白い作品は書けない。どう目立つかが重要なのだ。
ノイズ 混沌加速装置 @Chaos-Accelerator
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます