第8話
羊はあのとき見たときと同じだった。短足の羊。
僕は羊といろんな話をした。例えば僕が小学三年生の時に給食の時間、僕が大嫌いな干し柿が出てきてひたすら食べられなくて6時間目になっても食べられてなくて(昔は食べ終わるまで他のことをさせてくれなかった)、やっと6時間目の終わりくらいに決死の覚悟で食べたんだけど、三分後、みんなの前で全て吐いてしまったこと。公開処刑を味わった気分だった。そしてそれからあだ名が「ほしがき」になったこと。
そんなくだらないことも羊に話した。羊はそんな僕の話を全部受け止めてくれていた。そして羊は僕自身を受け止めていてくれた。
初めて自転車に乗れたときの話をした。中学の時万引きが僕の学校で大流行した話をした。初恋の話もした。初めての彼女の話もした。
僕が高校2年の時だ。僕はそれまで女に興味がなかったわけではないが、まぁ興味がなかったようなものだ。付き合うというのがめんどくさいことだと思っていた。
だけど高校2年の春、僕は先生に恋をした。その春に新任でやってきた先生だった。
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