37 ご機嫌な姉に弄ばれつつ、不機嫌な妹をしっかりとフォローする

 今日は灯里さんと真由美ちゃんとデートをしていた。


「翔ちゃん、次はどこに行こっか?」


「ちょっと、お姉ちゃん。くっつき過ぎじゃない?」


「そう言う真由美こそ。小さいおっぱいをくっつけちゃって」


「こ、これから頑張って大きくなるもん! お姉ちゃんこそ、大きすぎて邪魔じゃない?」


「Jカップ、ボインボ~ン!」


「うぅ~……」


 余裕の笑みで巨乳を見せびらかす灯里さんに対して、悔しそうに唇を噛みながら貧乳を隠す真由美ちゃん。


 こんな美人姉妹に挟まれている僕は、もう周りから嫉妬の視線をグサグサと刺されていた。


「ハーレムも辛いな」


「翔ちゃん?」


「翔太くん?」


「いや、何でもないよ」


「ほらほら、せっかくのデートなんだから。次に行くわよ」


「お姉ちゃん、だから自分ばかりくっつかないで」


 そんな風に可愛い姉妹に挟まれて僕がふやけていた時。


 上空から、ポツリと雨粒が落ちて来た。


「あっ、しまった。カサが無い」


 僕は軽く焦った。


 梅雨時なのに、折りたたみカサも持たなかったのは失敗だったか。


 そうこうモタついている内に、雨がザーザーと降って来た。


「わっ、どうしよう! とりあえず、雨宿り出来る場所に……」


「翔ちゃん、こっちよ」


 灯里さんが僕の腕を引っ張る。


 そのまま、僕と真由美ちゃんは灯里さんに引っ張られて行く。


 そして、雨宿りできる場所にたどり着いた。


「さすが、灯里さん。年長者だね」


「うふふ」


「あれ、お姉ちゃん。ここって……」


「ん?……あぁ!」


「うふふ」


 たどり着いた場所は……ホテルだった。


「いや、灯里さん。この前来たばかり……あっ」


「ジーッ……ふぅん? 翔太くん、ここでお姉ちゃんのおっぱいを楽しんだんだ? 後で妄想してオカズにしちゃうくらい」


「ま、真由美ちゃん……いや、このホテルはまた違う所だね」


「むぅ~……どちらにせよ悔しい」


「こら、真由美。翔ちゃんを困らせないの」


「お姉ちゃん……余裕かましちゃって。ムカツク」


「うふふ、最近の真由美は感情表現が豊かで可愛いわね」


「あ、それ僕も思っていた。最近よく怒った顔をするんだけど、それも可愛いし。この前、怒って僕に馬乗りした時もかわいかったな~」


「しょ、翔太くん?」


「へぇ~? 真由美も、すっかりお姉ちゃんに似て来たわね♡」


「あううぅ~……」


「二人とも、風邪を引くといけないから、入ろうか」


「はーい!」


「はーい……」


 片や元気いっぱいの灯里さんと、片やしょんぼり気味な真由美ちゃんを連れて。


 僕はホテルに入った。




      ◇




 とりあえず、風邪を引くといけないので、服を脱いでみんなでお風呂に入っていた。


「む~……」


 ぷかぷか、と。


 湯船に浮かぶ灯里さんの巨乳を目の当たりにして、真由美ちゃんはご機嫌ナナメ顔だ。


「ふぅ……最近、また少し大きくなっちゃった」


「え、マジで?」


「うん。でも、大きくなりすぎても辛いのよ? メチャクチャ張って、ちょっと痛いの」


「そっか。じゃあ、あまり触らない方が良い?」


「ううん、触って欲しい♡」


「じゃあ、遠慮なく」


 僕はモミモミッとする。


「あんっ♡」


 灯里さんは嬉しそうな顔をした。


 一方……


「……むす~」


 真由美ちゃんは不機嫌そうな顔のまま湯船に口を付けて、ブクブクとしている。


「あの、真由美ちゃん? もしかしなくても、怒っている?」


「別にぃ? 怒ってないですよ~?」


「いや、どう考えても怒っているトーンでしょ」


「でも、不機嫌な真由美も可愛いわよね~」


「お姉ちゃん、バカにしているでしょ? 自分が巨乳で色気があるからって。どうせ、私は貧乳で色気の欠片もないダメ女って思っているんでしょ? 翔太くんも」


「真由美ちゃん」


「えっ、何?」


 ふいに、僕が真剣な眼差しを向けるから、真由美ちゃんはたじろぐ。


「僕は前からずっと、君のことが大好きだったんだ。その事実は揺るがないよ」


「しょ、翔太くん……」


「そんな君と付き合えて、僕は幸せなんだ……まあ、エロうるさいお姉さんもセットだけど」


「誰がエロうるさいよ、もう♡」


「けど、今の状態がどうしても真由美ちゃんにとって辛いなら、僕は別れるのも止むなしかと……」


「そんなの嫌だ!」


 真由美ちゃんが僕に抱き付く。


「私も翔太くんのことが大好きだから、絶対に別れたくないの!」


「ま、真由美ちゃん……」


 僕らは見つめ合い、そのままキスをする。


「んッ……あッ……翔太くん、またキスが上手くなってる……お姉ちゃんに指導してもらったのかな?」


「ごめん……」


「謝らないで。私、お姉ちゃんのことも好きだから、大丈夫だよ」


「うぅ……本当に良い妹を持って、お姉ちゃんは幸せよ」


 灯里さんは涙ぐむ。


「よーし! 大好きで可愛い二人のことを、灯里お姉ちゃんの特大おっぱいで包んじゃう!」


「「えっ」」


「せーの……」


 むぎゅううううううううううううううぅ♡


 そのおっぱい包みは、とてもすごい圧力で。


 むしろ、プレスかってくらいで。


 僕と真由美ちゃんは……


「「……ブクブク」」


 失神した。


「やーん! 二人が死んじゃう~!」


 灯里さんは泣きべそをかきながら叫んだ。







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