私は目覚め、窓を開けた
藤枝伊織
1
掴んだ砂が指の間から零れるように、さらさらと落ちていく日々が流れていく。落ちていったそれらに意味はない。それでも私は意味を求めて、未練がましくまたかき集める。
やっぱり、連絡はなかった。まだ、涙が出そうになる。毎日連絡をしないと
「
私を気遣う男の声で我にかえる。まさか、会社を入社して半年たってからやっと行われた私たちの入社祝いの飲みの席でこんなに飲むことになるとは思わなかったし、たまたま開いたスマホに彼のSNSが投稿された通知が来るとは思わなかった。SNSは開くのに、私のメッセージに返信しない大翔を、私はなぜ待っているのだろう。
「わかんない。とりあえず、もう少し酔いたい」
私は思ったよりもしっかりと回る舌で答えた。男は
「じゃあ、二人で飲み直そうか」
先輩たちと駅で別れたあと、波多は私の耳元でそう言った。
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