なんでも屋の世界
第272話 世界観と用語
◇世界観紹介
ノイルたちの生きている世界はアザリオンと呼ばれている。
基本的にはセルンティア海という広大な海に隔たれた2つの大陸に別れており、イーリスト、ネイル、キリアヤムの三大同盟国が中心となっているマギアミラ大陸と、リリンリスタ帝国が中心であるフェイミルン大陸で主に人々は生活を営んでいる。
かつては同じ場所に無数の神が存在し、そこに優劣はないという認識を誰もが持っているため、国や地域により差異はあれど、基本的に信仰は自由。むしろ特定の神のみを信仰する事の方が珍しく、そういった者は大抵は『神具』に魅入られた者である事が多い。
3000年前の大戦争の戒めにより、人種による差別などは重罪となっている。そのため、2つの大陸では、主にそれぞれの大陸共通語が使用されており、普人族に続き人口の大半を占める魔人族や獣人族の用いる魔人語、獣人語も幼少より学ぶのが一般的。
また全てのものが自身のマナを持ち、強靭であるこの世界では、文字通り馬力が違うため、動物や魔物を利用した乗り物も一般的。キリアヤムなどでは、ドラゴンを卵から育て調教する文化もある。
なので決して技術水準が低いわけではなく、独自の文明を築いており、中でも生物を利用する事が主流である関係上、その糞などを処理する清掃技術は非常に発展している。
マナというエネルギーも、この世界に生きる者にとっては非常にクリーンなエネルギーであるため、環境問題とは無縁。小さな村であっても衛生環境は基本的に良い。
また、体内のマナのおかげで病気にかかる事も少なく毒物などにも強い。例え不衛生な環境であっても病死する事例などは少ない。しかし、人口の少ない創人族は身体が弱く病気にもなりやすい。彼らの保護に必用であったため、医療技術も拙いというわけではない。とはいえやはり魔人族の治癒や
また、マナに適応できなければ生きていけないため、万が一地球からこの世界に転移してしまった場合、直ぐに死ぬ。
帝国側――フェイミルン大陸に住む者は、マギアミラ大陸の住人と比べて若干マナの扱いや保有量が劣っている。そのため、マギアミラ大陸ではマナ研究が盛んであり、フェイミルン大陸ではマナに依らない技術の発展が目覚ましい。三大同盟国と帝国は交易なども交わし、和平も結んでおり、表向きは友好的。しかし、勢力拡大を図る帝国は、三大同盟国をも取り込み世界統一を果たそうとしており、三大同盟国側もその狙いには気づいている。とはいえ、どちらももし戦争になればあまりにも大きな被害となる事は理解しているため、進んで武力行使をしようとはしない。
なお、余談ではあるが、『アステル』の出現によりそのバランスが崩れかけたが、その後極秘理に送り込まれた帝国の諜報部隊から、手を出すべきではないという報告を受けた皇帝は、考えを改めたという。諜報部隊が何を見てどんな目に遭ったのか、詳しく知る者は少ないが、彼らの仕事には『
マギアミラ大陸ではレンス、フェイミルン大陸ではガンドという共通通貨が使われている。その他独自の貨幣も存在するが、2つの大陸ではそれぞれレンスかガンドを持っていれば基本的には何処でも生活できるようになっている。また、口座から引き出す際は、レンス、ガンドをそれぞれのレートで自由に引き出せる。
新たな『神具』が発見された際は、三大同盟国、及び帝国に通達する義務があり、これを怠り秘匿する事は重罪。故に『神具』を個人で所有する事は殆どないが、基本的には発見者に選択の自由がある事になっている。しかし、当然監視対象になるため大抵の者は直ぐに手放し大金を得る事を選ぶ。『神具』の売買は国や採掘者協会を通して行われ、買おうが売ろうがその名は公表される。武器型の『神具』であった場合は、基本的に個人の保有は許可されていない。また、『魂珠シリーズ』などの危険な『神具』の場合も同様である。新発見の『神具』は個人が所持する事を選択したとしても、一時研究機関でどのような力を持つのか調査が行われ、危険ではないと判断された場合、個人の元へ返還される。
採掘者が発見した『神具』に関しては、基本的に採掘者協会に所有権があるが、採掘者協会は各国のパワーバランスが崩れぬよう、配分または自分たちが保管している。例外として、危険性のないものは発見した採掘者が所持する事もある。
『神具』に関しては、世界の共有財産であり、誰も所有権を主張すべきではないという声も上がっており、国家の垣根を越え、『神具』を管理、研究、保管する、『国際神具研究保全機関』なる組織を立ち上げる動きも進んでいるが、帝国を始めとした諸国の反対の声もあり、上手くはいっていない。
◇主要用語紹介
・アザリオン
物語の舞台となるマナというエネルギーに満ちた、独自の文明を築いている世界。
・マナ
旧人類が生み出したエネルギー。かつては人間にとって害であったが、現代では全ての生命の源になっている。
・魔素
大気中に存在する微粒子状のマナ。
既に純粋なマナではないため、利用はできるが自身のマナとして扱う事は不可である。
・魔力
魔人族が自身の体内でマナを変換したもの。
この使用準備が済んだ状態と酷似しているため、大気中のマナは魔素と呼ばれている。
・マギアミラ大陸
イーリスト、ネイル、キリアヤムが中核をなし、ノイルたちが暮している大陸。
・イーリスト王国
普人族が人口の多くを占める国。首都は水の都とも呼ばれている。
・ネイル魔導国
魔人族が人口の多くを占める国。世界有数のマナの研究機関であり、教育機関であるネイル魔導学園がある。
・キリアヤム百獣国
獣人族が人口の多くを占める国。魔物や動物の研究が盛ん。ミーナの出身国。
・シャール大森林
四方数百キロに及ぶ広大な森。
独自の生態系が根付いており、この森でしか確認できない植物や生物も多い。
森人族が暮している。
・オウカ国
独自の文化を築く小国。畳や箸などが生まれた。
・友剣の国
世界で最も平和な国と言われている平和の象徴。勇者の剣が存在する。
あらゆる争い事を排し、皆が手を取り認め合い暮している一種の理想郷。
厳密に言えば三大同盟国の自治区であり、入国は悪人でなければ容易であるが、移り住むには三国による厳正な人格審査と信用調査を受ける必要がある。麗剣祭は毎年ここで行われる決まりである。
・王都イーリスト
イーリスト王国の首都。別名水の都と呼ばれる水上都市。各地に水路が走る非常に美しい街並みであるが、その複雑な構造に迷子が絶えない。大まかにわけて居住区、商業区、貴族区となっている。さらに商業区は採掘者街、商店街、宿場街、興行街に分かれており、王立学校も存在している。観光名所としても有名であり、人の往来も多く入都審査の際、希望すれば地図を買う事が可能。
・カリサ村
ノエルの故郷である長閑な農村。
村人たちは全員が彼女の言により、ノイルが婚約を交わした恋人であると思っており、二人の将来の為にノエルの実家が増築されつつある。
・ネイル魔導学園
世界有数の教育機関兼、研究機関。一般入学には大金が必要であるが、ネイル魔導学園卒業資格のある者は、その先の人生に困ることはないと言われている程のエリート校。中でも学費免除に加え、学園の施設を使い放題である特待生は、選ばれしエリート中のエリート。在学中はやっかみを受ける事も多いが、ネイル魔導学園特待生卒業という肩書きがあれば、本来なら一目置かれるというレベルではない。
・炭火亭
『
ミリスはここのチーズとワインが好物。
テセアの評価も非常に高い。
・獅子の寝床
男たちの憩いの場、迷える者の行き着く場所、最後の楽園、そしてノイルの最後の砦。
ガルフ・コーディアスが採掘者を引退した後、始めた酒場。採掘者向けの酒場であり、普段は彼らが愚痴を零しに来る場所である。レットとナクリ、クライスもよく入り浸っており、特に用がなければ大体夜はここに居る。ノイルも抜け出す事ができればその輪に加わり、日々の心労を癒やしている。何かの取り決めがあるのか、何故か女性陣はノイルがここで男友達と飲んでいる場合は押しかけて来ない。
20数年前は『
サラとガルフが交際を始めてからは、彼女が店に顔を出す事も多くなり、レットを始めとした男性用採掘者の足は遠のいたが、女性客は増えた。とはいえ、ガルフは結婚してからも度々男だけで集まる事のできる空間を提供し続け、やはりいつまでもお決まりのメンバーの憩いの場であった。
・
エイミーが働いていた遊覧船。
王都の景色を楽しみながらお酒を嗜む事ができる男性向けのお店。
原則的に男性から女性への接触は禁止。あくまでも楽しくお喋りをするお店。
イーリストにはその他多種多様なニーズに応じた遊覧船がある。
・あいいろ通り
王都イーリストの宿場街に存在する、道を藍色に塗られた通り。端的に言うと所謂ラブホ街。原則的に子供の立ち入りは禁止。大人の世界。
・サンドイッチ
ノイルとノエルが共に食べていた料理。パンに食材を挟んだもの。
この世界のサンドイッチという言葉の由来は、パンに食材を挟むだけだというのに、これ程美味しくなるのはそういう魔法でもあるのか、という一人の男の妻への冗談から来ているらしい。パンに食材を挟むという行為は珍しい事ではなかったが、この名が広まった事で昔は魔人族の女性が作った物が本物サンドイッチだと言われていた。現代では誰が作ってもサンドイッチ。
・炎酒
レットが好んでいるお酒。アルコールに一際強い魔人族には人気がある。度数は90度以上。穀物が原料。
・アリアレイク
王都イーリストが建造された広大な湖。ランクS採掘跡である『
・光虫
アリアレイクに棲息し、一年に一度淡い光を纏い湖からその姿を現す昆虫。厳密に言えば数種類棲息しているが、纏めて光虫と呼ばれている。成体になる前は、湖の底で長い年月を過ごす。
・ニケルベンベ
アリアレイクに棲息する非常に希少な魚。
王都に住む釣り人たちの憧れ。
ニケルベンベ。ああニケルベンベ。
・ホロホロ
アリアレイクに棲息する全身が硬質な厳つい魚。
捌くには専用の魔導具である『ホロカッター』が必要な程であり、釣る場合は針も特別なものにする必要がある。しかし、熱を通せば嘘のようにその身は軟化し、ホロホロと崩れるようなクドくない油の乗った白身を味わえる。イーリストの特産品の一つ。
・星湖祭
王都イーリストで一年に一度開かれるお祭り。都市中の明かりが落とされ、代わりに湖から姿を現す光虫が幻想的な光景を生み出す。観光客、特にカップルに人気がある。
・麗剣祭
一年に一度開催される武を競い合い強者を決めるお祭り。
殆どの参加者は採掘者であるが、一般からの参加も可能。ランクB以上採掘者には本戦の招待状が届くが、逆に予選には参加不可。
近年では形骸化しつつある予選の意義が問われていたが、カエ・ルーメンスや『精霊王
・普人族 (装人族)
世界で最も人口の多い人族。魔装という特殊な能力を扱える者が居る。
・魔人族
魔法という力を扱える人族。容姿が優れており、耳が少し尖っている。そして変わり者が多い。また、寿命も長く個人差が大きい。平均は普人族の2倍程であり、長命の者は3倍程も生きる。
個人の持つ属性により扱える魔法は変わる。
・獣人族
身体能力、肉体強度に非常に秀でた人族。獣人族同士でなければ細かい容姿の違いが分かりづらい。しかし、なぜか他種族と結ばれる者が多い。発情期が存在する。
・
シャール大森林に住む、精霊と共に生きる人族。幻想的な容姿の者が多く、神秘的な雰囲気を纏っているが、実際は基本的に怠け者。子孫を残す事すら億劫に感じるため、様々な手段を講じた結果、他種族にとって彼らが考案した道具などは一部の界隈で非常に人気がある。
他者に肌を見せる事を良しとしておらず、基本的には露出の非常に少ない服装をしており、仲を深めた者以外に触れられる事を嫌う。
・創人族
旧人類の生まれ変わりである人族。魔導具をマナストーンから創造する事ができ、世界にとっても貴重な存在。しかし、人口が少なく身体も他の人族からは考えられない程に弱い。また、自分の意思でしか魔導具を創造しない。それでも各国から手厚い保護を受けている、生まれながらの勝ち組。調子に乗る者も居る。銀の髪に他の色が混じった容姿をしており、自身の色に合わせた魔導具を創造する事が多い。
・竜人族
生物の領域を超越したとされている人族。世界に数える程しかいない伝説の存在。世界の観測者であり、愛するが故にどうなろうが一切の干渉を避ける。あまりにも優れた能力を持つため、子供たちのどの人族が最強か議論では禁止カードとされる。寿命もないとされているが、実際の所は存在する。彼らは基本的に
・海人族
『
・ハーフ
二種族の性質を引き継いだ人族。基本的に他種族間では子供を成すこと自体が難しいため、非常に珍しい存在。
普人族との間にしか誕生しないとされている。
・
魔人族の特異体質。二つの属性を扱える。
・魔眼
魔人族の特異体質。マナを視る事ができる。
正式な名称はなく、これを持つのはミゼリオとミリスのみであった。
後に、ミリスの子も魔眼を受け継ぐ。
・身体強化
体内のマナを操り、身体能力、肉体強度を引き上げるマナの扱いにおいて基礎中の基礎。練習すれば基本的に誰でもできるが、極めるのは難しい。なお、マナの扱いが得意であるはずの魔人族は、不思議な事に身体強化は苦手としており、マナの扱いが苦手な獣人族は得意としている。これはマナの性質の差であると考えられている。
・
普人族の持つ能力。魔素と自身のマナを練り合わせ、武器、防具、道具、能力などの様々な力を具現化させる。通常どんなに才のある者でも2つまでが限界。万能な能力に思えるが、実際は好きなように力を発現させられるわけではなく、才能、気質、運の要素が非常に大きい上、一度創造すると取り消しも不可。また、何かしらの制約を抱えており、強力な魔装程制約も強くなると言われている。死のリスクを負った能力などを発現させてしまう場合もあり、不幸な事故も決して少なくはない。そういった面があるため、使い手は徐々に減っており、現代では魔装を扱える者の方が少数派となっている。
・魔法
魔人族の扱う超常的な力の総称。ただし、それは基本的にただ自身の性質に変化させたマナを体外に放出しているだけに過ぎず、自然現象を引き起こしているわけではない。例えば、炎なら炎に非常に酷似した魔力を放出しているだけであり、酸素がなくとも関係はない。基本的には手から魔力を放出するが、極めたものは全身からでも可能。加えて、放出後の魔力のコントロールも行える。しかし、それができるのは一握りの才能ある者だけである。
・精霊
不思議な存在。
アザリオンでもそういう認識でしかない。対話が可能な森人族であっても、精霊は自分たちの事を語らないため、解明は進んでいない。
肉体を持たぬマナ生命体であり、自ら姿を見せようとしない限り、森人族か、ミリスのような特殊な存在しかその姿を見ることはできない。しかしそこら中に居る。一応シャール大森林に力の強い個体が集まっているが、何故かはわかっていない。単純に森人族のマナが目当てだと言われているが、何故かはわかっていない。自由気ままであり、グルメである。森人族以外の人族のマナは好きではないらしく、基本的には興味がない。あらゆるものに宿る事ができるが、自分の好みのものほど親和性が高い。そして大体好きなものに宿り生きている為、魔人族でいうところの属性のようになっている。
森人族と契約を交わしその身に宿っている精霊は、彼らの言う事を聞くが、野良の精霊は一度引き受けた仕事を気分でサボったりするため、仲良くなるには根気と広い心が必要。懐けばかわいいらしいが、野良の精霊は基本的に悪気はないが口も悪い。
魔人族と同じく魔法を行使できる事に加え、宿ったものを操る事が可能。強力な力ではあるが、自然現象や物体を操る場合は、威力は魔法に劣る事も多い。また、風で敵を切るなども当然不可能である。エルシャンの場合は魔法との使い分けでそれを可能にしている。また、〈精霊顕現〉は彼女のオリジナル技であり、精霊が姿を顕すことは本来は非常に希少な現象である。
精霊はマナを糧として生きているが、ミリスのようにマナが視えているわけではなく、感じ取っている。故に、優れた森人族は彼らと視界を共有できるが、それでもマナが視えるわけではない。
・魔物
人族以外でマナを積極的に使用する存在に与えられる総称。本能的にマナを扱える。スライムのように、凶暴な種ばかりというわけではない。竜種に関しても、人との親和性が高く大人しい種類も存在する。
・神獣
採掘跡にしか出現せず、そこでしか生きられない実体を持つマナ生命体。採掘者でない者には魔物と同一視されている事が多いが、非常に凶暴であり、侵入者には一切容赦はなく、その姿も通常の生物とはかけ離れている。生き物というよりは、プログラムされた防衛機構に近く、出現、行動にはパターンがあるため、その全てを知り、充分な実力があれば対処は容易になっていく。とはいえ、一つのミスが命取りになるため油断は採掘跡においては禁物。慣れ始めた採掘者が最も死傷率が高い。
・採掘跡
最深部にマナストーンを宿す迷宮の総称。旧人類が創り上げたアトラクション施設だったが、現代では生活に欠かせないマナストーンが手に入る貴重であり危険な場所。FからSの7段階の危険度で区別されており、ランクSに認定されるのは生還者が誰一人として居ない採掘跡。そこに立ち入る者は、採掘者の中では自殺志願者だと言われている。採掘者協会の管理下にあり、採掘者以外の立ち入りは、彼らの同行がない限りは禁止されている。
・マナストーン
採掘跡最深部で採取可能なマナを内包した宝石のように青い石。純度が高く多くのマナを内包した物ほど濃く澄んだ輝きを放ち、サイズも大きい。良質なマナストーンが採れる採掘跡ほど危険度も高くなる。
・
採掘跡からマナストーンを採取する事を生業としている者たちの総称。こちらもFからSの7段階でランク分けされており、最高ランクのSは採掘者の歴史上ただ一人しかおらず、その者の為だけに新設されたランクであり、実質の最高ランクはA。
ランクDまで登り詰めれば充分に優秀だと言われており、採掘者になる為には麗剣祭で活躍するか、厳正な試験に合格しなければならない。実力だけではなく品位や人間性も問われる、危険ではあるが花形の職業。
採掘者協会が有望な者をスカウトする事もあるが、それは例外中の例外である。
また、クールタイムなどを理由に採掘跡に潜らない期間などは、その高い能力を活かし依頼された仕事をこなす所謂なんでも屋でもある。
・採掘者協会
採掘者を管理、育成している国際組織。世界中の採掘跡も管理下に置いており、支部が各地に点在している。一応はどの国にも肩入れしない中立組織であるが、やはり自らの管轄区域には思い入れがある職員も多く、採掘者はその地域にある支部の空気に染まりやすい。
採掘者の問題行動などにも常に目を光らせており、実力のある彼らを万が一の際には抑える為に、秀でた能力を持つ人材を多く抱え、世界をより良いものにという理念で活動している。
実は採掘者になるよりも職員になる難易度は高いが高給。加えて世界に貢献でき、採掘者の助けとなる為やりがいを感じている者も多く人気の職業でもある。
その性質上、各国に自分たちの有用さと健全さを示し続ける必要があり、一度信用を失えば諸国を敵に回し、争いの火種となりかねないため、力を有しながらもそれを誇示し驕ることなく、むしろ苦労している世界的にはホワイトでありながら内情はブラックな組織。仕事は多く責任も非常に重い。更に、内部から腐敗しないよう、上に上がれば上がるほど苦労するシステムとなっている。優秀であり、人格も優れ、奉仕の精神がある者でなければ務まらない。ただし、職員になれば特典も多い。塔のような採掘者協会の内部は、専用の住居スペースや食堂、その他諸々の施設が備えられており、就職すれば一生生活には困らなくなるどころか贅沢な暮らしを送ることができる。職員にあてがわれる部屋は高給宿の一室と遜色なく、その他サービスも充実している。ヴェイオンのように最上階を私室にする事も可能。ただし、苦労は絶えない。採掘者協会で働くのならば、下っ端である受付が最も楽だと言われており、女性に人気。
本部はフェイミルン大陸に存在する。
・クールタイム
マナストーンを採取した採掘跡に起きる現象。しばらくの間はマナストーンを再び実らせる為に鎮静化し、比較的安全な状態になる。ただし、この期間に最深部に辿り着こうがマナストーンがないため、内部構造の情報が明らかとなっている採掘跡であれば、潜る意味は殆どない。
・
クールタイムとは真逆の現象。採掘跡が活性化し、危険度が跳ね上がる。この状態の採掘跡のランクは1段階引き上げられ、確認されればその採掘跡への立ち入りに制限がかけられる。可能性としては低いが攻略中に遭遇すれば命はないと採掘者に恐れられていた現象。
『アステル』が引き起こしていた。
・
神獣の中でも一際強靭な存在。
当然採掘跡により強さや種類は違うが、基本的には最深部直前に出現する。
遊び好きの旧人類が配置したボス。
・
ルビーのような髪と瞳の女性。
突如現れ、たった一人で『
正体はミリス。
・二つ名
採掘者の実力や実績、能力などを讃えて与えられる呼び名。ランクC辺りから二つ名がつけられる。
・パーティハウス
仲間となった採掘者たちが拠点とする建物。『
・採掘者証明書
ランクC以上の採掘者に与えられる、偽造不可の魔導具の身分証。カードタイプ。
これがあれば大抵は何処でもフリーパス。
・
エルシャン・ファルシードのパーティ。
破竹の勢いで様々な功績を上げたイーリスト伝説のパーティ。ファンも多い。
・
アリス・ヘルサイトのパーティ。
しかし彼女を手伝うのは一号と二号まで。多くの者が採掘者ではなく、アリスを慕うが故に集まっている異例の存在。
・双竜
竜人族であるネアとラキ二人のパーティ。
在籍しているだけで採掘者としては活動していない。
・月下美麗
ミツキ・メイゲツのパーティ。
精霊の風にも劣らぬパーティであったが、『アステル』の手によりミツキ以外は全滅。
その後、ミツキも家族の元へ。
『アステル』の一件のあと、ノイルたちの手によりイーリストにはお墓が建てられた。
・猛獅子
ガルフ・コーディアスのパーティ。
リーダーであるガルフが限界を認め解散。
その後パーティメンバーも採掘者を引退し、各々の道に進んだ。
付き合いは続いており、『獅子の寝床』には度々かつての仲間たちも訪れている。
・
ロゥリィ・ヘルサイトのパーティ。
しかしそれは表向きであり、実際はネレスがリーダーを務めていた。一時期王都にその名を轟かせたが、その実力に反しわずか3年ほどの活動を経て解散。以降はロゥリィ以外の名前が表舞台に出てくることはなかった。
・マナボトル
マナストーンを粉状に砕き、いくつかの薬草と混ぜ合わせ煮ることによって完成する薬。実は偶然の産物であり、何故マナが回復するのか解明されていない。人体への影響はないとされている。効能の高い物ほど値が張り、味は最悪なものになる。直ぐにただの不味いだけの液体となってしまうため、特殊な容器に入れて保存される
・魔導具
創人族がマナストーンを用いて創造する特殊な力を秘めた道具の総称。良質なマナストーンであればあるほど優れた魔導具となるが、より重要なのは創造者の腕前である。『神具』を参考にするケースが多い。
・神具
ごく稀に発見される旧人類が創造していた道具の総称。魔導具よりも強力な力を秘めており、そのエネルギーは不明。どれも規格外の性能であり、神具の保有数は国力に大きく関わってくる程。基本的には危険物として扱われる。
実はノイルの推測は概ね正しく、現存する神具は旧人類にとってはガラクタに等しい物か、または倫理的に問題のあった物である。使用されなかった無念や、歪んだ想いが強い残留思念となり現代にその存在を留め実体化させている。故に、まともである物が少ない。
心の底から強く望む者や、相性の良い者の前に出現する傾向もある。
・旧人類
現代では神と考えられているかつての人類。非常に発達した文明を築いていた。
ある日空から一つの星が大地に落ち、それから創造の力を扱える者が産まれ始めた。故に、彼らは宇宙というものを認識していたが、そこは自分たちに力を与えた神の世界だと考えており、技術的には可能であったが、宇宙を目指すことは禁忌とされていた。
創造の力を得た人々は、次第に平和な世界に退屈し始めていた。もしその力で武器を生み出してしまえば、破滅するだろう事を理解していた故に、個人個人が抑止力となり平和が保たれていた。しかし、少なくない者が刺激を求めていた。
そこに、思い切り力を奮える場所が誕生する。
それは現代の者が採掘跡と呼ぶ迷宮であった。これを創り上げた会社は、偶然の産物であったにも関わらずロクな調査を行わずに運営を始める。平和ボケの弊害であった。創造の力さえあれば何が起ころうが対処できると皆が高をくくっていた。
因みに、アステルの日記では迷宮タイムアタックと記されていたが、それは彼の表現であり、正式名称は『クイクリー』である。
結果、クイクリーは一大ブームを巻き起こし、正式に競技化され各地には次々と迷宮が創られた。そうして、旧人類は自らの生み出したマナにより滅んだのである。
もしも宇宙を神の世界と考えていなければ、彼らはそこへと脱出していたかもしれない。
・アステル
『浮遊都市』を創造した旧人類の男性。魂を扱う力を持っており、周囲に気味悪がられていた。しかしそれを受け入れてくれたリュメルとヘルクの二人に救われる。いち早く世界の異変に気づき、可能性を残すため二人とは分かれて『浮遊都市』に避難したが、意味はなかった。
最後の力を入れる振り絞り二人の友人に会いに『海底都市』へ向かったが、そこで恋人を失って狂ってしまったヘルクが禁忌に手を出した事実を知る。二人の側に居なかった事を後悔し、親友の『神具』の一部になる事を受け入れ、最期の希望を残す。彼の名が、そのまま『神具』と化した親友たちの子の名前となった。
・リュメル
『隠匿都市』を創造した旧人類の女性。恋人であるヘルクと共に『海底都市』に避難し、そこで子供を出産すると同時に力尽きる。彼女の最期の願いが通じたのか、子にはマナへの耐性が備わっていた。しかし、それが更なる悲劇を生むこととなった。
・ヘルク
『海底都市』を創造した旧人類の男性。恋人であるリュメルと共に『海底都市』に避難したが、リュメルが子を残し死亡。理不尽と悲しみと憎しみにより狂気に支配され、マナへの耐性がある我が子を媒体に、マナを滅ぼす『神具』を創造し始める。多くの避難民の命を奪い、その力を赤子に注いでいた。アステルとの再会によりわずかに正気を取り戻すが、もはや止まることはできず、彼の命と力を奪い、最期は自身の命も注いだ。その結果、彼とリュメルの子供は、マナを滅ぼす為の『神具』――『アステル』となった。
・
空に浮かぶ白い『神具』の都市。独特な景観をしており、白いのは色をつけ忘れてしまったため。人が住むことが計算されていない、一発ネタのような都市。後に色々と機能が追加されたが、それでも不便極まりなく、無駄な建物だらけである。
神天聖国と名乗る者たちが拠点としていた。
防衛機能だけは充実しており、最終形態は都市自体が巨大な機械兵となる。しかし、これもあまり考えられてはおらず、都市の中にいた場合、変形に巻き込まれる。
・機械兵
『浮遊都市』の防衛機能の一つ。簡潔に言えば人型ロボット。球体から変形し、手からはビームを放つ。ロケットパンチのようにアームを飛ばす事もできる。シンプルなロボット。
・神天聖国
国と自称している、アイゾンという男が率いる頭のおかしい空賊団。架空の神を信じる狂信者たち。『浮遊都市』を創造した者の名を、リュメルヘルクと勘違いしていた。世界中から蛇蝎の如く嫌われており、実際、その内部では口に出すのもはばかられるようなおぞましい行ないが続けられていた。ノイルを拉致した事により、彼らによって『浮遊都市』ごと潰された。
・神子
神天聖国の非道な行いの被害者。
《
五代目――シアラとテセアの代で、彼女たちの母親の決死の行動もあり、神天聖国は消え、救われた。
・
海底に存在する美しい『神具』の都市。『アステル』が生まれた場所であり、拠点としていた。後に海人族がこの都市を発見してしまった事により操られ、近づく者を排除する危険な種族と認定されるようになってしまった。ノイルたちが都市を訪れてからは、周囲の国々とも交流し始め、後に新たな観光名所として栄えた。
・
自走し、自在に姿を消す事ができる『神具』の都市。生物を模したブリキの玩具のような見た目をしており、上記二つの都市に比べると小さく狭い。ネレスが発見し拠点としていたが、『アステル』に奪われ、破滅の死獣となり消滅した。
・世界三害都市
『浮遊都市』、『海底都市』、『隠匿都市』。三つの『神具』の都市を指す言葉。人に不利益を与える為にそう呼ばれているが、ここに『隠匿都市』を並べる事には疑問の声も多かった。
『浮遊都市』と『隠匿都市』が消滅してからは、この言葉はなくなり、『海底都市』には多くの者が訪れるようになった。
・
世界有数の犯罪組織。
名は広く知れ渡っていながらも、その慎重さと狡猾さ故に尻尾を一切掴ませる事なく活動していた。彼らが残すのは、自分たちが現れた証であるドス黒い狼煙のみで、痕跡を残さないため大規模な犯罪組織であり、各地に手を回しているという事しかわかっていなかった。
その実態は『アステル』の支配下に置かれた組織であり、力を蓄えさせ、強者をおびき寄せる為の餌でしかなかった。
そしてノイルを発見し、ミツキを手に入れた『アステル』は、友剣の国の襲撃にこの組織を使い捨ての駒に使う。結果的に、黑狼煙は全員が死亡し壊滅した。
・勇者の剣
魔王を勇者が封印した剣と思われているが、実際はミゼリオとフュリスが『アステル』を封印していた。
周囲の魔素を吸い取って存在を維持している規格外の魔装。
・魔王
3000年前に大戦争を引き起こし、世界を破滅に追い込んだ大罪人。
しかし実際は、全て『アステル』のせいである。魔王と呼ばれた者はミリスの父親であるミゼリオであり、『アステル』に憑依されながらも、ミリスの母親――フュリスと共に『アステル』を封印した英雄であった。
・勇者
3000年前に魔王を封印し、大戦争を終わらせた英雄。
しかし実際は、愛する者と共に『アステル』という強大な敵に立ち向かった一人の母親であった。
・光の騎士
七色に光る。親頼りの騎士。
・うんこ
うんこ。
・破滅の死獣
ノイルを取りこんだ『アステル』が、更に『隠匿都市』をも呑み込んだ姿。巨大なサソリのようでも獣のようでもある。《
しかし全員の力を持って討たれた。
・『アステル』
人を元にした凶悪で悲しき『神具』。
あらゆる存在に憑依して支配し、その力を高める事ができる。また、『神具』も多く所持しており、『愚者の指輪』のような『神具』に近い物を創造する力も持つ。単体では強者にとっては脅威とは言えない程度の力だが、何かに一度憑依してしまえば手がつけられなくなる。
マナを滅ぼす為だけに動いており、心というものが存在していない。そのため、少女のような愛らしい姿とは裏腹に、目的のためなら情け容赦のない残虐な手段を迷わず選択する。しかし、感情というものは知っているため、笑ったり悲しんだりしたような表現をする事もある。厳密に言えば心が無いというよりは、マナを滅ぼすという使命がどんな感情であろうと上回るというのが正しいかもしれない。実はミゼリオとフュリスに封印される以前にも、二度程人類に敗北した経験がある。その度に学習し慎重かつ狡猾になっていった。封印から抜け出した後は、弱まった力が元に戻るまで数百年かけじっと隠れ潜みながら居るはずのない『相棒』を探していた。度重なる失敗により、これまで以上に優れた存在を手に入れなければならないと考えていた。そしてノイルを見つけ、二度と失敗しないよう全ての力を奮ったが、やはり敗北する。消えゆく中でノイルと会話し、自身の敗因が全て人が人を想う力によるものだと気づく。湧き上がる衝動のままに一人は嫌だと呟きノイルの手を握り、握り返された所で彼女の記憶は途絶えた。
そして、『神具』と人間の狭間で彷徨い続け、使命という呪いの楔に穿たれ操られていた彼女は、新たな魂として生まれ変わる事になる。
あまりにも長い時を呪縛に捕らわれ、一人意味もなく苦しみ戦わされ続け、人々から蔑まれ、身体を失い、ようやく、アステルの人生は一から始まったのだった。
・カエ・ルーメンス
カエル顔の謎の男。ノイル。
特技は平泳ぎ。
・精霊王
エルシャンが麗剣祭に参加する度に現れる謎の人物。血のようなドレスを纏い血を操り戦う。一体何者なのか。
・例の地味な服
ノイルが保身の為に女性陣にプレゼントしている服。フリーサイズ。
本来なら、逆に悪目立ちすることのない絶妙な地味さとダサさで素材の味を殺しきる。ただし女性陣はそれなりに着こなしており、更に流石に集団になれば逆に目立つ。
・スライム美容液
スライムの、食べた物の特性を高めるという性質を活かし、製造される美容液。
女性の憧れ。
トゥルントゥルンのお肌になる。
高級品であり、あまり出回らない。
・魔釣り竿
まーちゃん。
アリスが創造した釣り竿の魔導具で、ノイルの最愛の女性。
リールは別売り。
・
変人たちが集まるなんでも屋。
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