第260話 エルシャン・ファルシード
◆エルシャン・ファルシード
20歳(本編終了時21歳)
黄白色の髪に翡翠の瞳を持つ、芸術品と見紛う程の
精霊
【大地】
【風】
【水】
【雷】
ノイルの学生時代の同級生。
容姿端麗、文武両道、清廉潔白、常に悠然としており、格好良く美しく、人望も厚い。苦手な事もできない事も殆どなく、万能であり同性にすら嫉妬するのもおこがましいと思わせる程の強い憧憬を抱かせ、老若男女問わず人を魅了し惹きつける完璧人間。
しかし実際は、清濁合わせ飲む事を厭わない、腹黒さのあるストーカー気質の変態である。
とはいえ、周囲からの評価は決して狙って得たわけではなく、自分を取り繕っていい人を演じているわけでもないため、優れた人柄であるのもまた事実である。
元々、居心地の良いシャール大森林から殆ど自分の意思では出ようとしない森人族の中でも、進んで外の世界へと踏み出した変わり者で活動的な彼女は、このまま緩やかに衰退して行きかねなかった森人族の救世主として期待されており、族長の娘ではあるがシャール大森林に呼び戻そうとする者は居ない。
加えて、外交的な森人族となれば諸外国にとっても相当に珍しい存在であり、彼女と交流を深めようとする者は非常に多く、誰からも一目置かれている。彼女は全て断っているが、婚姻の誘いも多い。
外交的だとは言ってもやはり森人族である彼女は、他者に触れられる事を好まず、肌を見せることすら良しとしない。そんな彼女を射止めるのは非常に困難なはずであった。
しかしネイル魔導学園でノイルを一目見た瞬間から、そのあまりにも自分好みな容姿に密かに強すぎる恋心を抱く。
以降は七年間に渡り、彼から話しかけてくれる事を待ちながら、その一挙手一投足を精霊と協力し監視し続けていた。その内にノイルの人間性にも惹かれ、もはや狂気とも呼べるほどの情愛を抱く。
入浴から果てはトイレに至るまで、精霊の機嫌次第でもあるが殆ど常に彼を視ていた彼女は、ミリスがキスをした事に激しいショックと怒り、悲しみ、後悔を覚え、なりふり構わず遂に行動を開始し強引にその貞操を奪おうとした。その際に口付けを交わした事で、彼女の中では婚約した事になっている。
自身が名付け親となったソフィに対しても非常に強い愛情を抱いており、彼女の魔装の件が解決してからは、自分とノイルの子のように接するようになった。
その高すぎる能力に対しては自覚があり、人よりも数段秀でているという自負があるが、同時に自身に対しての要求も高く厳しい。そのため、実際の所は不運が重なっただけにも関わらず、中々思うようにノイルの役に立てない自分を歯痒く、不甲斐ないと感じていた。麗剣祭の一件でそれは決定的なものになり、一時イップスのような症状に陥りかけていた。しかし、ミーナの叱咤や、仲間たちの声により立ち直った彼女は、『アステル』戦においてシイクとエユレユの助けもあり、まさに『精霊王』と呼ぶべき力を発揮し、ノイルの救出において多大な貢献をする。
因みにアリスの言の通り、彼女は本来地上での戦い、厳密に言えば自然環境を利用した戦いを得意としている。ミリス戦では有利な状況ではあったが、自身の持つ全ての力を発揮できていたかといえば、そうではなかった。
『アステル』戦以降は、精霊たちに自身のマナを好きなだけ与え続けると誓ったため、一時大きく弱体化。マナボトルを手放せない身となり、精霊が常時ちらついていて鬱陶しいとミリスに煙たがられる。後に精霊たちも満足し、解放されたが、復帰戦とも言えるノエルとの戦いにまさかの敗北を喫し、己を鍛え直すことになった。
ただしただで転ぶ事はなく、自分を見つめ直すための里帰りに、酷く落ち込んだふりをしてノイルを誘う事に成功する。ホームであるシャール大森林において彼女を止められる者はおらず、そのままの勢いで強引にノイルと婚姻の儀を結んだ。執念の戦略勝ちであった。
彼女の結婚と共に、『
ただ一人頭を抱えていたのはヴェイオンである。しかし、完全に引退したというわけではなく、以降は様々な偉業を成し遂げた伝説のパーティとして、主に後進の育成に当たり、イーリストのマナストーンがどうしても不足すれば、採掘跡に潜るなどして、マイペースに活動していた。その際は、ノイルから可能な限り離れたくない彼女とミーナによって、恐るべき速さで採掘跡は攻略され、『精霊の風』は更に伝説のパーティと呼ばれるようになる。
親友であり恋敵であるミーナの事は、何時までも泥棒猫と呼び続け、常に歪み合い続けたが、いつしか周囲には採掘者最強のコンビと呼ばれるようになった。
半活動休止状態だったこともあり、最終的にランクは上がることはなかったが、彼女は実力的にはランクSで間違いないと評され、後に世界で初めての『
父親の詳細はついぞ公表されなかったが、彼女の娘は森人族とその他の人族を繋ぐ架け橋になったという。
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