第259話 フィオナ・メーベル
◆フィオナ・メーベル
19歳(本編終了時20歳)
空色の髪と瞳の女性らしさに溢れた
魔装
《
《
属性
【風】
ノイルの学生時代の後輩。
彼に出逢う前は非常に内気で臆病、あがり症で引っ込み思案な少女であり、いじめを受け学園での居場所をなくしていた。
深刻な病にかかり、調子に乗っていた若き日のノイルの被害者ではあるが、同時に絶対に自分を蔑ろにせず、正面から気を遣わず自然体で向き合ってくれた彼に惹かれる。ノイルが女性に優しく接するようになったのは彼女を泣かせた事が原因。
メーベル家の家訓、また実力主義のネイル魔導学園の性質、更には家の名を使い目立ったり腫れ物のように扱われたくないという本人の強い希望もあり、当初はメーベルの名を伏せて学園に通っていたが、ノイルと共に過ごす内に自信を持ち始め、彼に相応しい人間となる為に名を隠さず堂々と学園で過ごすようになった。
俺が居場所を作ってやる、俺のものになれ、二人の楽園を作ろう、というノイルの無駄に格好つけた無駄に誤解を生む発言を真に受けたわけではないが、釣り堀作りに付き合わされる内に、いつからか彼に依存し神格化し始め、自らをノイルの所有物だと自称するようになる。
彼女の世界はノイルを中心に周っており、基本的には彼に関する事以外には興味を示さない。自身の魔装すらも自分のものとは考えておらずノイルのものだと思っている。そのため、《天翔ける魔女》の隠された能力に自力で辿り着く事ができた。
彼女の魔装は二つともノイルの為に創り上げたものであり、《愛》は言わずもがな、《天翔ける魔女》も元々は様々な地域から魚を迅速に空輸し、状況に応じた魔法でその鮮度を保つための魔装である。重厚なゴーグルには一度捉えた獲物(魚)を自動追尾する効果があり、彼女の強い執着心と献身的な性質に見事に合致している。図らずも彼女にとってぴったりの魔装となった。
しかし元々が戦闘を目的としたものではない上、流石に能力の限界もあり、短銃から放たれる魔弾の威力は調整可能だが上限がある。
だが、エルシャンに敗北した事をきっかけに、その欠点は改善された。それまではノイルに与えられた至上の魔装しか扱うつもりのない彼女であったが、以降は風の魔法と組み合わせる事により戦闘の幅を大きく広げる。最終的に、下手をすれば精霊をも上回る風の魔法の使い手となった。エルシャンも空中戦においてはもはや分が悪いと考えており、遮蔽物のない平地などの屋外戦であれば、彼女を止められるものなど殆ど居ない。
ただし、虫が相変わらず大の苦手であり、蚊に血を吸われただけでも失神する。その他にも実は苦手なものは多いが、ノイルに合わせる為に鋼の精神で耐えている。ただし虫だけは失神する。これはあまりにも明確な彼女の弱点であり、ノエルを始め周囲に頻繁に利用された。
しかしながら、祖父であるオルムハイン、幼き頃より親交のあったヒメリエと共に、半ば強引に結婚計画を押し進める。そうして念願叶い、望み通りネイル魔導学園にて結婚式を挙げるに至った。
彼女の強い希望とオルムハインの計らいにより、最初は思い出の釣り堀で二人切りの結婚式を執り行い、その後、待たせていたヒメリエを始めとした関係者達で秘密裏に盛大な式を催した。
その後は『白の道標』で働きながら、時折魔導学園の臨時講師として教鞭を執る生活を続け、積極的に子作りに励み、魔人族の男児と普人族の女児を出産しオルムハインを大層喜ばせる。
公表される事はなかったが、息子と娘は同時期に生まれたヒメリエの子供達とも深い交流を持ち、溺愛されて育つ。
しかし、子供達は彼女によく似てしまったのか、どちらかといえば父親の方によく懐いていた。
娘の「パパのお嫁さんになる」という発言が、子供特有のそれではないと判明した際には、周囲の多くの人間に戦慄と波紋を生み、父親は一時失踪した。当然の如く直ぐに連れ戻されたが、その後母と娘の本気の親子喧嘩が長年に渡り繰り広げられ、その様子を息子が自身の所感と共に日記として詳細に綴っており、それは後にエイミーの手によって物語に整えられ、一冊の本として世に出版されることになる。
悲劇とも喜劇とも取れる悍しいながらもどこかコミカルな歪な愛憎劇は、カルト的な人気を博し、舞台化され、これまた王都で人気を博していた役者であるソフィが主演を務めた。
後に娘と和解した当の本人は、この件については非常に遺憾だと述べている。
そうした具合に全てが上手くいったというわけではなかったが、彼女はノイルと出逢った事を一度も後悔する事はなく、その生涯をまっとうした。
余談ではあるが、髪が伸びる度に彼女はそれを使って衣類や小物を作ってはノイルに贈り、彼も微妙な表情を浮かべながらも、決してそれを捨てる事はなかったという。
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