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22時を過ぎた。
ーガチャン。
玄関の鍵を閉める音がアパートのフロアを木霊する。こんな時間はほとんど人が外に出ずに過ごす中、僕は足を進める。向かう先はいつものあそこだ。毎週金曜日、僕の花金は今から始まる。
少し歩くと目の前に広がる公園があった。ここは割と広い敷地ではあるが、22時になると辺りの街灯が一気に消えて真っ暗になる。昼間は子どもたちで溢れている公園だが、人通りは極端に減り、ホームレスの気配もない。全くと言っていいほど人気のないこの敷地。内見で来た時は分からなかったが、引っ越した後に気づいた時ひどく後悔した。でもなんだかんだ住み始めて2年が経とうとしている。
彼女との出会いは4ヶ月前、たまたまコンビニに酒を買いに行く途中だった。その日は取引先に送る書類の中に必要のないものも入れてしまい、気づいたのがポストに投函したあとだったから、上司にこっぴどく注意された。郵便局に問い合わせをして万事は逃れたが、当然のこと気分はブルーだった。だから今日はくらいはいいだろう。ましてや、金曜日だしやけ酒してやろうって、軽い気持ちでコンビニに向かった。コンビニに着くや否やビール2本と軽いつまみ、あと締めにいつも食べたくなる安いプッチンプリンをそそくさ選んで買い、コンビニを出て帰る途中、ふと思い立った。『たまにはあの公園行ってみようか。』と。いつも気味が悪いからと夜はなんとなく避けていたが、こんな今日くらいはいいだろう、と帰路のルート変更をした。22時を少し過ぎた頃だった。
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