第9話 リンカVSレッド・ドラゴンイーター!! 決着!!


『大甲虫の森林』の草原地帯でモブサウルスを5匹退治し、チュートリアルクエストをクリアしたリンカ(=狩野花梨)。

だが、クリア後、運悪く(?)レアな乱入モンスター『レッド・ドラゴンイーター』に遭遇してしまった!

まだ移動系スキルの無いリンカより、レッド・ドラゴンイーターの方が直線移動速度は上で、拠点までは逃げ切れそうにない…。

GR1(ギルドランク1)の初心者ハンター『リンカ』は、ランダム乱入型の巨大ボスモンスター『レッド・ドラゴンイーター』と戦うことを決心した!

そして、戦いの中、リンカは高難度スキル【ジャスト・パリィ】をぶっつけ本番で成功させたのだった…。


「 グオオォォッ!! 」 『 ドドドドドドッ!! 』

全長50メートルのレッド・ドラゴンイーターが、身長160cmのリンカに、再び、その巨大な口を開けて突進してきた!!

リンカは、突進してきたレッド・ドラゴンイーターの前にの剣を構えて立ちふさがり…レッド・ドラゴンイーターの攻撃(口元)に合わせて斬撃を(右から左に払うように)繰り出した!!

『 キィィィィィンッ!! 』

甲高い音が鳴り響き、レッド・ドラゴンイーターの巨体がリンカの左側に逸れて、

『 ズズゥゥゥン… 』

と横転して倒れこんだ!!

身長160cmのリンカが、全長50メートルのレッド・ドラゴンイーターの突進を『受け流した』のだ!!

そして、受け流すと同時にリンカの身体からは金色のオーラのような光が立ち上りはじめた!!


「 嘘でしょ…リンカさん…もう高難度スキル【ジャスト・パリィ】を使いこなしてる…『アクションゲームやること自体このゲームが初めて』って言ってたのに… 」

と、ジョセフィーヌは驚愕の表情で呟いた。


「 いくぜぇっ!! 」 『 ダッ!! 』

金色のオーラをまといながら、リンカはレッド・ドラゴンイーターにダッシュした!!

今のリンカは【ジャスト・パリィ】LV5を積んでおり、ジャスト・パリィ発動時は5秒間だけ攻撃力が5倍になる。

レッド・ドラゴンイーターが体勢を崩している5秒間に、自身の5倍になっている攻撃力でありったけの攻撃を加えるのだ!!

『 ザシュッ! ザクッ! ザクッ! ザシュッ! ザシュッ! ザシュッ! …… 』

レッド・ドラゴンイーターに攻撃を加えると、レッドドラゴンイーターの体力ゲージが表示された!

しかし…(モブサウルス相手の時は只の通常の一撃で体力の3分の2ほども削れたのだが、)レッドドラゴンイーターの体力ゲージは、ジャスト・パリィで5倍になった攻撃力で何発も攻撃を食らわせたにも関わらず、いくらも減っていない…。

( 「 うわ…攻撃力だけじゃなく、体力・防御力もマジでバケモンだな…けど、やるしかねぇ! 」 )…とリンカは思った。


そして…

「 グルルル…ッ!! 」

5秒が経過し、レッド・ドラゴンイーターがのそりと立ち上がった。


「 ちっ…もう5秒経っちゃったか… 」

リンカは用心していったん間合いをとった。


…と、その直後、リンカに向けて巨大な口をぱっくりと開けたレッド・ドラゴンイーターの口内から、巨大な火炎球(ファイヤーボール)がリンカめがけて放たれたっ!!


「 あっ!!? 」

数百メートル離れた拠点から通信魔法【コール】で戦闘を見ていたジョセフィーヌは叫んだ…と同時に後悔した。

リンカに、レッド・ドラゴンイーターの攻撃の大半が突進であることは伝えたが、他の攻撃方法については伝えていなかったことを…。


この時、リンカとレッド・ドラゴンイーターとの距離はわずか数メートル…その近距離で高速の巨大な火炎球(ファイヤーボール)がリンカめがけて放たれたのだ!!

普通に考えると反応できるはずはなかった…。 


…が!!

「 はぁっ!! 」

リンカはこの火炎球(ファイヤーボール)に対して反応し、なんと、【ジャスト・パリィ】で無傷で受け流したのだ!!


「 ええぇっっ!!!? 」

ジョセフィーヌは今までで一番驚愕した!!

あの近距離で不意打ちのように放たれた高速の火炎球(ファイヤーボール)に反応して、あまつさえ、入力受付時間0.1秒の高難度スキル【ジャスト・パリィ】で無傷で受け流すなど、もはや人間業(にんげんわざ)ではないと思った。


リンカの身体からは金色のオーラが立ち上った!!

再び、5秒間 攻撃力5倍のバフがかかったのだ!!

…が、今回はレッド・ドラゴンイーターに攻撃をしかけなかった。

今までのは突進を受け流すことでレッド・ドラゴンイーターの体勢を5秒間崩した後で攻撃をしかけていたわけだが、今回は火炎球を受け流しただけでレッド・ドラゴンイーター自身は別に体勢を崩しているわけではないからだ。

こちら(リンカ)はギルドランク1で初期防具で あと一撃食らったら確実に死ぬ『紙装甲』の初心者ハンター…かたや並のボスモンスターを凌駕するランダム乱入型の巨大ボスモンスター…なので、この戦いは手堅く、 『 【ジャスト・パリィ】でレッド・ドラゴンイーターの体勢を崩した後の5秒間だけ攻撃する 』という方針に決めた。


「 ジョセフィーヌ! こいつ(レッド・ドラゴンイーター)の攻撃で、『突進』と『火炎球』以外に注意すべき攻撃ある? 」

リンカはジョセフィーヌに問いかけた。


「 えっ!? あっ…はい! あと、注意すべきは『叩きつけ』です! 巨大な口…というか下顎を地面に叩きつけて半径50メートルほどの範囲に『地震』を起こし、ハンターの体勢を崩してきます! なので、『地震』が来る瞬間に空中にジャンプしてかわしてください! 」

「 なるほど… 」


( 「 グオオォォッ!! 」 『 ドドドドドドッ!! 』 『 キィィィィィンッ!! 』 『 ズズゥゥゥン… 』 『 ザシュッ! ザクッ! ザクッ! ザシュッ! ザシュッ! ザシュッ! …… 』  リンカはジョセフィーヌと会話しながらも、レッド・ドラゴンイーターの突進に【ジャスト・パリィ】を決め、追撃している… )


「 …ちなみに、その『地震』ってのは、『叩きつけ』の際の下顎に【ジャスト・パリィ】を食らわせれば阻止できんの? 」

「 はっ…はい! 『叩きつけ』時に下顎に【ジャスト・パリィ】を決めればレッド・ドラゴンイーターの体勢を崩せますので、『地震』は発生しません! 」

「 オッケー! サンキュー♪ 」


…と、その話が終わるやいなや、(まるで今の話が聞こえていたかのように、)レッド・ドラゴンイーターは巨大な口を高々と持ち上げた!!

『叩きつけ』の動作に入ったのだ!!


リンカは、下顎が叩きつけられるであろう位置の近くまでダッシュで移動・位置取りをし…

高速で降下してくる巨大な下顎に向かって、

「 はっ!! 」

右手の剣を右から左に流すように振りぬいた!!


『 キィィィィィンッ!! 』

甲高い音が鳴り響き、【ジャスト・パリィ】が発動した!!


レッド・ドラゴンイーターの全長50メートルの巨体がバランスを崩して横転した!!

『 ズズゥゥゥンッ… 』

同時にリンカ自身に5秒間のバフがかかり、レッド・ドラゴンイーターにいっきに攻勢をかける!!


◇ ◇ ◇ ◇ ◇


そして…(ゲーム内時間で)1時間を超える死闘の末…ついにリンカはレッド・ドラゴンイーターを倒したのだった!!!

まだ、最初のチュートリアルクエストをクリアした直後でGR1(ギルドランク1)で初期防具のままで…


あまりの前代未聞の出来事を目の前にして、ジョセフィーヌはポカーンとしながら、

「 本当に倒しちゃった…ギルドランク1で…初期装備で… 」 ( ゜Д゜)ポカーン

と呟いた…。


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